謎の国々は実在したか?(1) ~ 侏儒国(こびとの国)とは?

前回まで、「二倍年歴」説を検証して、それを基に、「神武天皇の東征」が紀元前1世紀前半であることや、「国譲り」「天孫降臨」が紀元前5世紀頃であることを、推測しました。
今回からは、再び魏志倭人伝にもどり、残された宿題について、みていきます。

魏志倭人伝のなかで、最も解釈しずらいのは、「謎の国々」についての記載でしょう。では、改めてその箇所を読んでみましょう。

【現代訳】
女王国から東へ千里ほど海を渡ると、また国がある。みな倭と同じ人種である。その南に侏儒国(しゅじゅこく)がある。身長は、三、四尺である。女王国から四千里ちょっと離れている。さらに裸国(らこく)、黒歯国(こくしこく)があるが、どれも東南にあたる。一年も航海すれば、たどりつけるだろう。


まず登場する国が、「侏儒(しゅじゅ)国」。邪馬台国から東へ海を渡り1000里、その南にある、つまり、邪馬台国の東南4000里にある。さらに、東南の方向に舟で1年行くと、「裸(ら)国」「黒歯(こくし)国がある、と記載されています。

以上の、「侏儒国」、「裸国」、「黒歯国」は、すべて架空の国とされています。
「倭人のホラ話を、著者な陳寿がそのまま書いたのだ。」
というわけです。
その理由は、
「記載されている位置に、そんな国はないではないか」
というものです。あるいは
「侏儒国=こびとの国など、おとぎ話である証拠だ」
とも言われます。

たしかに、当時の1里=400 mとすれば、侏儒国の位置は、邪馬台国から東南に、4000里=1600kmとなり、はるか太平洋の海のなかになってしまいます。
また、「裸国」「黒歯国」などは、さらに舟で1年となると、とんでもない場所になり、
「そんなところへ当時の人々が行けるはずはない。」
と考えるのも当然化かもしれません。

ようするに、
「こんな話は、当時の中国人の誇大妄想思想の表れだ。」
というわけです。一見すると、尤もな考えのようにも思えます。
しかしながら、これでは科学的態度とは言えないでしょう。もう少し、緻密に考えるべきではないでしょうか。

では、ここから、冷静にみていきます。この際キーとなるのが、このブログでも詳しくお話してきた「短里」と、「二倍年歴」です。
「短里」説とは、当時の1里=約75mであったとする説です。
「二倍年歴」説とは、当時の倭人は半年を1年と数えていたとする説です。

この考え方で試算します。まず侏儒国です。
侏儒国は、”邪馬台国から東へ海を渡り75km(1000里)、別の倭種の国があり、その南にある。それは邪馬台国の東南300km(4000里)の位置になる”ことになります。

邪馬台国は博多湾岸ですから、そこから東へ向かいます。1000里(75km)というのは目安であり、水行の場合は2日、陸行の場合は3~4日かかったということでしょう。関門海峡手前まで歩いて行きそこから舟で渡ったのか、それとも博多湾岸から舟に乗り関門海峡を渡ったのかは定かではありませんが、ほぼほぼ合ってます。「侏儒国」は、そこから南の位置にあります。同時に、邪馬台国の東南4000里(300km)とありますから、その両方を満たす位置は、ちょうど高知県の足摺岬のあたりになります。そこが、「侏儒国」です。

以上を図示します。

侏儒国まで 
魏志倭人伝の記載からすると、この位置になりますが、その証拠はあるのでしょうか?

余り知られていませんが、足摺岬近辺には、巨岩遺跡があります。「唐人駄馬(とうじんだば)遺跡」です。一般的に、縄文時代には巨岩信仰があったとされてますが、唐人駄場遺跡の巨岩には、明らかに人が加工した痕跡があり、祭祀の対象とされていたと考えられています。世界最大級と言われるストーンサークルもあります。また紀元前5000年頃から弥生時代にかけての石器や土器片などが多数発見されています。ということは、古代には、文明をもった多くの人々が住んでいたことになります。

<唐人駄馬遺跡>
唐人駄馬遺跡1                                                                                        (高知県土佐清水市HPより) 

 
そしてもうひとつ、「侏儒国」=「こびとの国」とは、何なのかです。身長3,4尺とありますから、当時23-24cmほどとして、70cm-1mほどです。確かに、「こびとの国」となります。こうした話は、単なるおとぎ話なのでしょうか?。

実は、この地域の近傍に、背の小さい人々が多い地域があった、との記録があります。もしかしたらその人々が侏儒国の人々の末裔だった可能性もあり、あながち「おとぎ話」の話とも言えないのではないでしょうか?。

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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。

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