謎の国々は実在したか?(3) ~ 古代日本人は太平洋を舟で渡った!?

さて、「侏儒(しゅじゅ)国」を探し求めて、高知県は土佐清水市、足摺岬までやってきました。問題は、この先です。ここで、もう一度、三国志魏志倭人伝をみてみましょう。


【現代訳】
女王国から東へ千里ほど海を渡ると、また国がある。みな倭と同じ人種である。その南に侏儒国(しゅじゅこく)がある。身長は、三、四尺である。女王国から四千里ちょっと離れている。さらに裸国(らこく)、黒歯国(こくしこく)があるが、どれも東南にあたる。一年も航海すれば、たどりつけるだろう。

すなわち、”裸国、黒歯国は、侏儒国の東南、舟で1年航海したところにある”、とあります。こうした記述から、一般的には、
「だから、魏志倭人伝の記載はいい加減なのだ。」
「倭人のほら吹きを、そのまま記載しただけだ」
と言われているわけです。

ところで、裸国、黒歯国という文字を見て、皆さんは、どんなイメージをもつでしょうか?。

そのまま読めば、”裸の国”、”歯が黒い国”ですから、何となく、南方の国を思い浮かべる方が、多いのではないでしょうか?。

では、侏儒国の東南に、そのような国があったのでしょうか?
地図でみてみましょう。

侏儒国東南

侏儒国から東南の方向は、太平洋ですが、太平洋を横断してさらに東南へ行くと、南アメリカ大陸へと到着します。

古田武彦氏は、南米「エクアドルの辺り」と主張しました。

あまりに突飛なので、驚かれた方もいると思います。なかには、
「小さい舟で1年かけて、そんなに遠い国へ、本当にたどりつくのか?」
と思われた方も多いでしょう。
また、
「具体的証拠はあるのか?」
というのも、もっともな指摘です。

では、科学的視点をもって、見ていきましょう。

当時は、帆船ではなく、手漕ぎの舟です。手漕ぎだけでは、そんなに遠くへ行けませんから、潮の流れ、すなわち海流に乗ることになります。そこで、太平洋の海流の流れを見ます。
海流1 
海流2

図の通り、足摺岬を舟で出れば、黒潮に乗り、日本列島に沿い、北東の方向へ運ばれます。そこから太平洋の大海原を、海流に乗り、ひたすら東の方向へ進みます。

北アメリカ大陸に近づくと、カリフォルニア海流が、南に向かって流れています。その流れに乗り、次第に大陸に近づきながら、南下していきます。赤道を越えたあたりで、今度は、南から北上してくるペルー海流(図には記載されてません)とぶつかります。したがって、これ以上、南へは進めず、ここでストップすることになります。ここが、ちょうど、南米エクアドルなのです。

つまり、海流の流れにうまく乗れば、自然とアメリカ大陸に到着する、というわけです。実際、東日本大震災において大量のがれきが太平洋に流れだし、北米大陸のカリフォルニア沿岸に到着したことが、報道されました。巨大ながれきが、自然とアメリカ大陸に流れ着いたのですから、もともと潮の流れにうまく乗るように作られた舟であれば、もっと容易にたどりつくことでしょう。

ところで、実際に舟で太平洋を横断した勇気ある人が、現代にもいました。
・堀江謙一氏 (1962年) 西宮⇒サンフランシシコ 3ケ月と1日
・牛島龍介氏  (1969年)   博多⇒サンフランシスコ 2ケ月と20日
です。 
いずれもヨットですが、日本〜サンフランシスコまでほぼ3ケ月です。サンフランシシコから南下して、エクアドルまで同じくらいかかるとして、約3ケ月かかるとすると、
侏儒国からエクアドルまでは、
3 +3 = 6ケ月
かかることになります。

また、1980年に興味深い実験が行われました。「太平洋古代文化の会」による古代航海実験です。
下田~サンフランシスコ~アカプルコ~グアヤキル~リマ~アリカ(チリ)
の18000kmを.野性号Ⅲにて航海しました。
日本〜サンフランシスコが、50日
日本〜チリ最北端の町アリカが、207日
でした。

この実験からも、侏儒国からエクアドルまで、6ケ月という数字は、妥当なものと言っていいでしょう。

ところで、魏志倭人伝を見ると、
”侏儒国から裸国、黒歯国まで1年かかる
とあります。

「何だ、月数が倍も違って、合わないじゃないか」
との考えをもたれた方もいると思います。

ここで、「いや、そうではないよ」と、反応された方は、このブログをよくよく読まれて理解されている方です。

そうです。ここで、あの「二倍年歴」の登場です。
つまり、「二倍年歴」を考慮すると、
1年÷2=6ケ月
となり、魏志倭人伝の記載(1年)が、実際の月数(6ケ月)と、ピタリと合ってくるのです。

「こんな計算は、単なるこじつけだ。」
とか、
「たまたま偶然、合っただけだ」
という方も、多いでしょう。

当然予想される意見ですが、ここで、この解釈についていくら議論したところで、水掛け論で終わってしまいます。そこで、次回からは、別の視点から、みていきます。

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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。

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