日本人は、どこからやってきたのか?(2) ~ 男系と女系の移動ルートの違い

前回は、サルから分岐した人間の祖先が、ゴリラ・オラウータン・チンパンジーとも分岐し、猿人、原人、旧人そして、最終的に新人つまりわれわれ人類となったことを、お話しました。

そして、人類の発祥はアフリカであることも、お話しました。


さて、われわれ人類の祖先は、そのアフリカに長らく生活していたわけですが、7万年前頃から、その一部が、アフリカから旅立ちます。その行く先は、中東を経て、東へ向かったグループと、西へ向かったグループがありました。その東へ向かったグループの一部が、長い年月を経て、日本に到達しました。

簡単に示すと、このようなルートです。

人類拡散世界地図

                                         (九州大学総合研究博物館HPより)

もちろん、これはおおまかなイメージです。アフリカから出たのも3回にわたった、という説が有力ですが、諸説あります。ここでは、そのあたりは置いておいて、アフリカから出たわれわれの祖先が、どのルートで、日本にたどりついたのかを、みていきます。


では、何を基に推定していくのが、最も信頼がおけるでしょうか?。


昔は、身体的特徴たとえば骨格、肌や髪の毛や目の色、また言語や文化的特徴、或は出土物などを基に推測していましたが、それでは決定的なものにはなりえませんでした。たとえば、言語にしても、必ずしも遺伝的特質と対応していないケースが多いのです。こうしたことから、過去、人間がどのように移動したのかは、議論が混沌としていました。


ところが、ここにきて、科学の飛躍的な発展があり、数多くのことがわかってきました。その決め手こそ、「遺伝子工学」です。簡単に言えば、過去と現在の世界各地の人間の遺伝子を調べれば、その動きがわかる、というわけです。


ここで、人間の身体について、見ていきましょう。


人間は、約60兆の細胞でできているとされてます。その細胞のひとつひとつのなかに、われわれ人間の設計図とでも言うべき情報が入っています。その情報がなければ、われわれ人間は、一瞬たりとも生きることはできません。そして、その情報を構成するものこそ、「DNA(デオキシリボ核酸)」と呼ばれるものです。


<細胞の構成>

  DNA構造

                            (メルクマニュアル医学百科 家庭版 HPより)

細胞のなかにはがあり、そのなかに染色体があります。染色体は、全部で23対、46本あります。染色体は、X染色体とY染色体の二つのタイプがありますが、そのほとんどはX染色体です。女性はすべてX染色体、男性のみひとつだけY染色体になってます。上の図で、染色体No.23がX染色体とY染色体のペアであることが、確認できます。したがって、この細胞は、男性の細胞ということになります。

女性の卵子と男性の精子は、もととなる細胞(始原胚細胞といいます)から、染色体数が23本ずつに半減します。(減数分裂といいます。)。卵子は23本すべてがX染色体である一方、精子は23本すべてがX染色体のものと、1本だけY染色体のものの二種類になります。

ここで、卵子が、すべてX染色体である精子と受精すれば女の子になり、Y染色体をもった精子と受精すれば男の子になる、というわけです。確率は、半分ですね。

以上、話が小難しくなりましたが、ようは、”Y染色体DNAは男性から息子にしか伝わらない”、ということです。

Y染色体のDNAは,いくつかのタイプに分けられます。そして、あるタイプのY染色体DNAをもった男性の男の子供には、同じタイプのY染色体DNAが引き継がれていきますので、このY染色体DNAを追跡していけば、代々にわたり、ある男性の家系が、どの地域に住み、どのように移動したのかがわかる、という方法です。


注意しなくてはいけないのは、この方法は男の系統のみ追いかけている、ということです。途中で、女の子供しかできないと、その時点でY染色体DNAは伝わらなくなり、その後の追跡は、不可能ということになります。


<例>

男⇒息子⇒息子⇒息子⇒息子 ・・・ 追跡できる

 

男⇒息子⇒娘のみ⇒息子 ・・・ 追跡できない


これで、男系の移動については、推測できることが理解いただけたと思います。


一方、女性の場合はどうでしょうか?。女性については、細胞核の外側にある、ミトコンドリアDNAに注目します。精子に含まれるミトコンドリアは、一般に受精後卵細胞の中で死滅してしまうとされるので、母からのみ子供に引き継がれます。その子供が男の子であった場合、その男の子の子供(孫)には引き継がれませんから、結果的に、母系にのみ引き継がれることになります。

<例>

母⇒娘⇒娘⇒娘⇒娘 ・・・ 追跡できる


母⇒娘⇒息子のみ⇒ ・・・ 追跡できない



これで、女系の移動についても、推測できることが、わかりました。

さて、以上から、男系の移動と女系の移動が推測できることがわかりました。実は結論を先に言ってしまいますと、男系の移動と女系の移動は大きく異なることがわかってます。

現代社会ですと、人間の移動というと家族ごとの移動が中心なので、違和感があるかもしれませんが、太古においては、男性は狩りや戦いをしながら活動領域を広めたり、移動していったことが多かったでしょう。また、戦いに敗れ、絶滅することも多かったと思われます。一方女性は、家族を守るために、子供などとともに居所にとどまることが多かったでしょうし、あるいははるか遠方に住む男性の家に嫁ぐこともあったかもしれません。

このようなもろもろの理由で、男系の移動と女系の移動が大きく異なっている、と考えられます。

歴史の流れという観点から見れば、男系の移動の方が、より大きな動きを表しているとも言えるので、次回からは、男系の移動についてみていきます。

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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。

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