日本人は、どこからやってきたのか?(15) ~ やっぱり日本人は特異な民族?

前回までで、日本人がどこからやってきたのか、について、お話してきました。また、アイヌ民族・沖縄先住民についても、みてきました。

簡単に言えば、
a.アフリカを出た人類のうち、日本人の先祖は、南ルートをたどり、インド・東南アジアまでやってきた。縄文人を形成したのは、そこから北上して中国・朝鮮半島を経由して日本列島に到達したルートと琉球諸島から日本本土へ到達したルート、ロシアのバイカル湖付近から南下して北海道へ到達したルートでやってきた人々。時代は確定してないが、40000万年前頃から長期にわたったと推定される。
b.時代を経て、2500年前頃以降、中国・朝鮮半島から人々がやって来て、縄文人と融合して、弥生人を形成した。
c.その後、古墳時代以降、中国・朝鮮半島から、漢民族を中心にやってきた。

こんなところです。


これで、概略がつかめたかと思いますが、話はこれで終わりません。実は、遺伝子工学による解析結果といっても、まだまだ近年始まったばかりで、確たることはわかっていないというのが現状です。


ここまでお話してきたY染色体DNAについても、日本列島は酸性土壌であり、骨が溶けやすいため、良好な状態で残っている古代人の骨がないため、現代人男性のY染色体DNAの分布をもとに、過去を推定するしかありません。しかしそれはあくまで確率論であり、本当にそうだったのかについては、確たることは言えません。日本に人々がいつ渡来してきたのかについても、2万年前頃とする説もあれば、4万年前頃とする説もあり、正直よくわかっていないというのが現状です。


ほかにもミトコンドリアDNAによる方法もありますが、これは女系の移動ルートを推定するものであり、男系の移動ルートを推定するY染色体DNAとは、異なったものになります。


ではどうしたらいいのか、と問われれば、「古代人そのもののDNA、そのなかでも遺伝核DNAそのものを調べればいい」ということになります。いままで、技術的に難しかったのですが、ここで先般、画期的な研究報告がありましたので、紹介します。(「縄文人の核ゲノムから歴史を読み解く(神澤秀明(国立科学博物館)」(生命誌ジャーナル)より


”東京大学総合研究博物館に所蔵されているおよそ3,000年前の縄文人骨(福島県三貫地貝塚から出土)から大臼歯を取り出し、作業途中に実験者のDNAが混入しないよう細心の注意を払い、専用のクリーンルームでDNAを抽出した。配列を調べると大部分は死後に歯の内部に侵入したバクテリア(真正細菌、古細菌)などに由来すると思われるものだったが、わずか数%程度、縄文人に由来するであろうDNAが含まれていた。ここから、縄文人ゲノムの4%ほどを占める、1億塩基を越える配列データを得ることができた。これを現代人の配列と比較することで、縄文人の独自性と日本列島人の成立過程が見えてきた。”


福島県三貫地貝塚は、昭和27年に発掘調査が行われ、総数100体を超える縄文人骨が出土したことで一躍全国に知られるようになりました。時代は、4000~2500年前と推定されてます。その人骨の歯からDNAを抽出して解析したものです。その結果をまとめます。


1.世界中の集団と縄文人の比較
アフリカ、ヨーロッパの集団を含む世界中の人々と縄文人の核ゲノムを比較したところ、縄文人は東ユーラシアの集団と遺伝的に一番近いことがわかりました。これは位置的に言っても、当然ですね。

p06.jpg


2.東ユーラシアの集団と縄文人の比較
さらに東ユーラシアの集団にしぼっての比較により、現代日本列島人は大陸集団と比べてより縄文人に近縁であることがわかりました。これも、感覚的に理解できます。

 p07.jpg


3.世界の現代人と縄文人の系統関係
遺伝子配列を現代人と比較したところ、縄文人はいずれにも属さず、東アジア人の共通祖先から分岐したという系統関係になりました。
つまり縄文人は、これまで考えられていたより古い時代に他の東アジア人集団から孤立し、独自の進化をとげた集団である可能性が出てきたというのです。
これは前回までお話してきたような従来の定説を覆す画期的な説です。
ではいつ、どこで分岐して、どのルートで日本列島にやってきたのか、は謎です。

p08.jpg


4.現代日本列島3集団と縄文人の比較
現代の日本列島人3集団と縄文人との関係を見たところ、アイヌ、琉球、本土日本人の順に縄文人の遺伝要素が強いことがわかりました。Y染色体DNAでは、アイヌ民族と琉球人とは異なるという見解でしたが、遺伝的な関係は強いということです。

p09.jpg


5.縄文人の核ゲノム解析から見えてきた日本列島人の成立ち

p10.jpg

古代日本人がいつ、どこからやってきたのかについて、かなり時代が古いものであり、かつ周辺の東南アジア、北東アジア人とは異なる可能性が指摘されてます。

もしかすると、日本人男性のもっているY染色体DNA系統のうち、最も古いとみられるC系統の動きと関連があるかもしれません。C系統については、そのうちのC3系統が東南アジアから北上し、シベリアバイカル湖まで到達してから南下、北海道や朝鮮半島を経由して九州へと渡来した、と推定されます。マンモスハンターだったようです。

一方、謎がC1系統です。南方系の海洋性ハンターだったと推定されますが、日本固有の系統で、どこからやってきたのか、わかっていません。

もしかすると、インドネシアのC祖型が北上、海を渡って、一気に日本列島に渡来したのかもしれません。そう解釈すると、東南アジアや北東アジア人より前に分岐した、とする仮説と合致します。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
↓なるほどと思ったら、クリックくださると幸いです。皆様の応援が、励みになります。 

にほんブログ村 歴史ブログ 考古学・原始・古墳時代へ
にほんブログ村

日本史 ブログランキングへ


スポンサーサイト

テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
2016年8月に出版しました。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
おきてがみ
こちらにもお立ち寄りください。私からも訪問させていただきます。
twitter
おすすめの本
PR
PR
読者登録
メールで更新情報をお知らせしますので、こちらに登録ください。


提供:PINGOO!
旅情報
ブロとも一覧

アアト日曜画家

☆☆ まり姫のあれこれ見聞録 ☆☆

中国通史で辿る名言・故事探訪

幕末多摩・ひがしやまと

客船の旅

黒田裕樹の歴史講座

しばやんの日々

Paradise of the Wild bird…野鳥の楽園…
おすすめ
自分を不幸にしない13の習慣、今なら無料! 年収1000万以上っていい目標だと思っていた。この事実を知るまでは・・・
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR