銅鐸にみる「西→東」への権力移動 (5) ~ 最古の銅鐸が出土した場所とは?

論文では、外縁付鈕式銅鐸からの解析でした。なぜかと言えば、最古の菱環鈕式銅鐸については、出土数が少なく、統計的に解釈できないからです。菱環鈕式銅鐸は、これまで出土地がわかっているもので、銅鐸そのものが7個、鋳型が2個出土しています。


<銅鐸>

a.島根県出雲市斐川町神庭 荒神谷遺跡

b.兵庫県姫路市夢前町神種字西川

c.兵庫県洲本市中川原町清水二ツ石
    兵庫県南あわじ市

d.岐阜県大垣町十六町

e.福井県坂井市春江町井向島田

f.三重県鈴鹿市高岡町東ノ岡 高岡遺跡


<銅鐸鋳型>

g.京都府向日市鶏冠井石橋 鶏冠井遺跡

h.愛知県名古屋市西区中沼町 朝日遺跡第14次調査


出土地を地図に落としました。


<菱環鈕式銅鐸・銅鐸鋳型分布図>

菱環鈕式銅鐸


ご覧のとおり、畿内には鋳型が一つしか出土してません。しかも、京都府(g)です。あとは、広い地域に分散していることがわかります。


このなかで最古のものはどれなのかについては、簡単には断定できません。この点について、春成秀爾氏(はるなりひでじ、国立歴史民俗博物館名誉教授)が、詳細な検討をしています。(「弥生農耕の起源と東アジアー炭素年代測定による高精度編年体系の構築」)

一部を要約しますと、
愛知県名古屋市の朝日遺跡から出土した銅鐸鋳型(h)は、最古級であるが、島根県荒神谷遺跡から出土した神庭5号銅鐸(a)の文様と共通する。ただし朝日遺跡の鋳型は、神庭5号銅鐸の文様構成よりも、簡略化されているので、新しいと考えられる。一方、兵庫県洲本市中川原出土の中川原銅鐸(c)の文様構成は、朝日銅鐸の鋳型よりもさらに簡略化が進んでいる。以上から、神庭5号銅鐸(a)→朝日遺跡銅鐸鋳型(h)→中川原銅鐸(c)の順に変遷したと考えられる。”

とされてます。時期も紀元前4世紀中頃~後半としましたが、畿内との関係など、わからない点も問題提起されました。

そして、その後、画期的な発見がありました。

朝日銅鐸鋳型に刻まれている文様と同様の文様をもつ木製の杵が発見されたのです。

その場所はと言えば、何と意外にも、石川県小松市の八日市地方遺跡から発見されたのです。

<八日市地方遺跡出土の杵>

八日市地方遺跡 


このことから、、”銅鐸を作る技術も材料も、日本にはなかった。二つの遺跡の出土品から、材料と技術をもった人が朝鮮から濃尾平野にやってきて、北陸の集団もかかわり生み出したーとの仮説を春成さんは描き出した。”(以上「朝日新聞WEB版、2008年4月6日」より)

さて、皆さんは、この仮説について、どう考えますか。

「銅鐸材料と技術をもった人々が朝鮮から濃尾平野にやったきた」というのは、わかりますが、はたして朝鮮から他の地域を飛び越して、直接濃尾平野に来るものでしょうか?。

もちろんその可能性もありますが、普通に考えれば、”日本列島のどこかに上陸して、少しずつ移動して、最終的に濃尾平野に住み着いた。”となるのではないでしょうか?。

そしてそのルートとして考えられるのは、
1.朝鮮半島(あるいは中国本土)から、瀬戸内海を通過し、畿内を通り、濃尾平野に到着。
2.対馬海流に乗り、日本海側から上陸し、濃尾平野に到着
です。

1の場合は、その途上に、最古の銅鐸が出ている兵庫県の淡路島があります。
2の場合は、その途上に、同じく最古の銅鐸が出ている島根県荒神谷遺跡、福井県坂井市春江町があります。福井県坂井市春江町は、上で紹介した石川県小松市の八日市地方遺跡の近くですね。

このように考えると、伝播ルートとしては、
山陰地方(島根)or北陸地方(福井、石川)or瀬戸内海沿岸(淡路島)  ⇒ 濃尾平野
の可能性が高くなります。

ちなみに、先にもお話ししましたが、2015年6月に淡路島から出土した銅鐸が、島根県荒神谷遺跡出土の銅鐸と同笵(どうはん、同じ鋳型)であることが話題となりました。このことから出雲と淡路島の強い結びつきが、推定されます。となると、
島根→淡路島→畿内→濃尾平野
という伝播ルートの可能性が高いかもしれません。

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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。

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