土器が語ること(2) ~ 縄文土器と弥生土器は何が違う?

前回、一口に縄文土器、弥生土器と言っても、外見だけからは、その違いは一般人にはよくわからない、という話をしました。

では、縄文土器と弥生土器は、具体的にどのように違うのでしょうか?。ここで整理します。

■形
縄文土器は、口が広くて底が深い形(深鉢形(ふかばちがた))が多いといわれますが、壺型や注口型(上写真)、浅鉢、香炉形、高杯、、皿形など様々な形があります。
弥生土器は、壷・甕(かめ)・鉢、皿を台の上に載せた形状の高坏(たかつき)などの簡素な形をしたものが多いです。

■模様
縄文土器は、名前の通り、縄を押し付けてつける縄目の模様がありますが、縄文を使わないものもあります。
弥生土器は、シンプルなデザインが多くなりました。

■製作方法
どちらも紐作りで作成します。紐作りとは、ひも状に伸ばした粘土を積み上げていく技法のことです。
縄文土器は、窯を使わない平らな地面あるいは凹地の中で、やや低温(600℃~800℃)の酸化焼成します(野焼き)。そのため赤褐色系で、比較的軟質です。
弥生土器は、藁や土をかぶせる焼成法でした(覆い焼き)。これが窯の役目を果たし、焼成温度が一定に保たれて縄文土器にくらべて、良好な焼き上がりを実現できました。縄文土器と比べて、明るく褐色で、薄くて堅くなってます。

■使用目的
どちらも、食料資源の調理・加工・盛り付け・貯蔵、祭祀目的で使用されたようです。弥生時代に特徴的なものといえば、九州北部の墓で多くみられる甕棺としての利用でしょう。

<弥生土器>

弥生土器 高松市 
(高松市HPより)

この写真をご覧になればわかるとおり、縄文土器と同じような形のものも多いわけです。他にも、縄文土器、弥生土器とも似たような特徴をもっており、明確な差がはっきりしません。

もちろん、専門家から見れば、いろいろあるのでしょうが、正直一般人からみて、よくわからないと感じます。

その要因は、「弥生土器」の定義があいまいだからではないでしょうか?

「弥生土器」とは、
” 縄文土器のあとに続き ,古墳時代の土師器 (はじき) や須恵器より古い土器。弥生時代を通じて製作,使用され た。”(「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典」より)
とあります。

以上のとおり、”弥生時代に作られた土器”としかないわけです。その弥生時代すら時代が数百年遡るなどの議論が出ており、弥生時代の定義があいまいになってます。

その弥生時代ですが、
”日本において縄文時代に続く時代で,弥生土器が使用された時代。”(同上より)
です。

ようは、
「弥生土器とは、弥生時代につくられた土器」
であり、
「弥生時代とは、弥生土器がつくられた時代」
としています。

これは、数学的に見ると、不思議な定義です。お互いにお互いを定義し合ってますね。議論があやふやになるのも頷けます。

最近、日本における水耕稲作の時期が、従来より数百年さかのぼり、紀元前1000年頃とする説が発表されました。

こうしたことから、最近は、

”弥生時代の開始時期=水耕稲作が開始された時期”

となってきてます。
そうなると、

”弥生土器=水耕稲作の時代に作られた土器”

となります。だいぶ、すっきりしてきました。

とはいえ、当時の人々が、”今日から弥生時代になった。今までの土器作り(縄文土器)をやめて、新しい土器(弥生土器)を作ろう。”などと考えて、日本国中、突然弥生土器を作り始めたなどということが起こりうるはずがありません。

弥生時代に入り、弥生土器を作り始めた人々がいた一方で、頑なに縄文土器を作り続けた人々が多数いたはずです。むしろ初めは、そのような人々の方が多かったはずです。そうなると、その土器は、何と呼ぶのか、という問題が出てきます。

ようするに、肝心の土器の実態としての定義がないと、このような混乱が起こるわけです。もう少し、科学的に明確化する必要があると考えます。


では、二つの土器の決定的な違いとは何か、です。

もちろん、弥生土器は、水耕稲作用に作られた土器とも言えますが、祭祀などに使用される場合もあったわけですから、そうとも言い切れません。形、模様、、使用法による分類など
は、先にみてきたとおり、たいへんわかりにくいです。私は、もっとも特徴的なことは、製作法の違いにあるのではないか、と考えます。

つまり、縄文土器が「野焼き」なのに対して、弥生土器は藁や土をかぶせる「覆い焼き」です。その違いこそ、薄手で硬質な品質を可能にしたわけです。まさに、技術革新、イノベーションですね。

<覆い焼きの窯作成の様子>
弥生土器(覆い焼き) 
(秋田県秋田市HPより)

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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。

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