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論衡(ろんこう)から漢書地理志までのまとめ ~ 中国→朝鮮→日本と移動した倭人の足跡

ここまで、倭人が初めて記載された中国史書「論衡(ろんこう)」、金石文である磚(せん)、中国最古の地理書「山海経(さんがいきょう)」、中国二十四史のひとつである「漢書王莽(おうもう)伝・地理志」、「三国志魏志東夷伝序文」「三国志魏志濊(わい)伝・韓伝・東沃祖(とうよくそ)伝」、それから朝鮮半島の記録として「三国史記新羅本紀・百済本紀」、「広開土王碑」、それに百済から贈られた「七支刀銘文」を読んできました。
話が多岐にわたり、ややこしくなってきたと思いますので、ここでそれぞれの資料のポイントをまとめます。今回は、「論衡(ろんこう)」、磚(せん)、「山海経(さんがいきょう)」、「漢書王莽(おうもう)伝・地理志」です。✳︎太字は、資料原文の現代訳または大意。


【論衡】
・周の成王(せいおう)の時代(BC1115-BC1079年頃)、倭人が鬯草(ちょうそう)を献じた。
・「鬯草」の産地は、中国南方であり、「論衡」の倭人とは、中国南部に定住していた越族の中の倭人と思われる。

【磚(せん)】 *磚とは、城壁・家屋・墓室などに使用されたレンガのこと。
・中国安徽(あんき)省にある磚(170年頃)に、「倭人」の言葉が刻まれている。
・この「倭人」は、安徽省に定住していた倭人と思われる。
・揚子江下流域に住んでいた倭人が、北上して、朝鮮半島を経て、日本に渡ったと思われる。
・倭人の出自は、揚子江中下流域の南側で、現在の浙江(せっこう)省にある河姆渡(かぼと)遺跡(BC5000-BC3000年頃)が最大の遺跡であろう。

【山海経】
・戦国時代(BC5世紀-BC3世紀頃)の朝鮮半島は、北側に燕(えん)、中央に蓋(がい)国、南側に倭があった。
・この倭は朝鮮半島にいる民族集団で、中国南方の南越から移ってきた倭人と思われる。

【漢書王莽(おうもう)伝】
・前漢の王朝(BC206-AD8年)は、周囲東西南北の国々をすべて支配することができた。東夷王(日本にすむ倭王)は、海を渡って「国珍」を献上してきた。
・論衡の倭人と、漢書の倭人は異なる。すなわち
論衡の倭人=揚子江下流域に住む倭人
漢書の倭人=日本本土に住む倭人
である。

【漢書地理志】
・殷の宰相箕子(きし)は、殷滅亡後、朝鮮へ行き、箕子朝鮮(BC12世紀-BC194年)を建国し、教化した。
孔子は、「道」を説いたが、諸侯に受け入れられなかった。愛想をつかした孔子は、「海を渡って、東夷の人びとに道を説きたいものだ。」と嘆いた。
・楽浪の海中に倭人がいる。百余国に分かれている。決まった年時にしたがって中国に朝貢してくる。
・孔子のあこがれた東夷の人々とは、倭人のことではないか?
・倭人は、長い時間をかけて、
揚子江下流域
    ↓
朝鮮半島南部
    ↓
日本本土
と、移動してきた。
・中国雲南省南部、ミャンマー・ラオス国境近辺に住む哈尼族は、日本人に顔つきが似ており、風習も共通性がある。
・春秋戦国時代の呉越戦争、戦国時代の楚の侵攻による越の滅亡、秦や漢による中国統一のための侵略により、越族のうち、あるものは中国南部や現在のベトナム・ラオス、ミャンマー、タイに逃れ、あるものは朝鮮半島・日本へと逃れていった。
・その人たちが、日本に稲作をもたらし、倭人と称したのであろう。


以上の倭人の移動を図示します。
倭人の想定移動ルート 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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