謎の国々は実在したか?(13) ~ まとめ
さて、ここまで12回にわたって、三国志魏志倭人伝に出てくる「侏儒(しゅじゅ)国」「裸(ら)国」「黒歯(こくし)」国について、いろいろ推測してきました。その結論は、「侏儒国」とは、高知県足摺岬近辺にあった国、「裸国」「黒歯国」とは、南米エクアドルにあった国であり、古代日本人は、「侏儒国」から舟で太平洋を渡り、たどり着いたこと、さらには、そこから日本に戻ってきた人々もいたのではないか、と推測しました。話が多岐にわたっているので、ここでまとめます。
■中国史書「三国志魏志倭人伝」に、”女王国から東へ千里ほど海を渡ると、また国がある。みな倭と同じ人種である。その南に侏儒国(しゅじゅこく)がある。身長は、三、四尺である。女王国から四千里ちょっと離れている。さらに裸国(らこく)、黒歯国(こくしこく)があるが、どれも東南にあたる。一年も航海すれば、たどりつけるだろう。”との記載がある。
■侏儒国(侏儒=小人)は、高知県足摺岬近辺にあった国。巨岩遺跡で知られる「唐人駄馬(とうじんだば)遺跡」がある。巨岩に太陽光を反射させるやり方で、航行中の舟のため灯台の役目を果たしていたのではないか?
■侏儒国から黒潮に乗って、南東に舟で半年ほで行くと、「裸国」「黒歯国」がある。そこは、エクアドルに当たる。
■古代人が舟で太平洋を横断できることは、数々の事例と証拠がある。
■エクアドルに、縄文土器と似た土器が出土していることもその一つ。
■南米アンデス先住民の血液から、日本人と同一系統のHTLV-1ウイルスが検出された。さらに、チリ北部に埋葬されたミイラから、アイヌ民族と同じ系統のウイルスが検出された。
■また、南米北中部のモンゴロイドミイラおよび体外の糞石(糞の化石)から、日本列島に多い寄生虫(コウチュウ)の卵が発見された。コウチュウは、摂氏22度以下では死滅する。したがって、縄文人が、日本を北上してベーリング海を渡ってくることはできなかったはずである。
■裸国とは、”裸で生活する人々の国”の意味であり、100年ほど前までそのような民族がいた。黒歯国は、”歯を黒く染める風習のある国”の意味であり、現在でもその風習をもっている民族はいる。
■中国古代史書「海賦(かいふ)」に、古代日本(倭国)から裸国、黒歯国へ行き、また倭国に戻ってくる、という記載がある。
■日本で産卵して孵化したアカウミガメは、黒潮に乗って、北米カリフォルニア沖まで泳ぎ、そこで成長して、また日本に戻ってくる。このルートは、古代日本人の太平洋横断想定ルートとほぼ同じである。
■「裸国」「黒歯国」の末裔は、その後インカ帝国に征服されるが、文明は継承されて、現在にも伝わっている可能性はある。
いかがでしょうか?。このように考えてくると、”古代日本人の太平洋横断”という説は、一笑に付すべき説ではないという気がしてくるのではないでしょうか?。今後また、さまざまなデータが出てくるでしょうから、それらを基にした科学的検証に期待したいところです。
<古代日本人の太平洋横断想定ルート>・・・読者の皆さんは、どちらのルートだったと考えますか?。
以上で、「謎の国々は実在したか?」は、終わりです。
今回、古代日本人が南米まで渡った話をしました。また以前には、倭人は古代中国や朝鮮半島から来た、という話もしました。つまり、”日本人は、遠いはるかな古代から日本列島に住んでいて、海外との交流もなく現代にいたっている”ということでははなく、
”海外とのダイナミックな移動を繰り返して、日本人を形成し、またさらに海外にも出て行った”
ことがわかります。
では、そもそも日本人は、どこからやってきたのでしょうか?。その謎について、次回からみていきます。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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