謎の国々は実在したか?(12) ~ 「裸国」「黒歯国」とインカ帝国の関係とは?
「裸国」「黒歯国」は、三国志魏志倭人伝に記載されている国ですから、日本で言えば「邪馬台国」の時代、すなわち、紀元3世紀頃にあった国と推定されます。
ここで、エクアドルの歴史をみてみましょう。
縄文土器と似ている土器を作っていたのは、バルディビア文化(紀元前4000年-同1500年頃)ですが、その後マチャリーリャ文化、チョレーラ文化などを経て、地方発展期(紀元前300年-紀元700年頃)には、階層社会や祭祀センターなどが成立しました。
「裸国」「黒歯国」は、この時代の国のことと考えられます。
紀元700年から16世紀半ばまでは統合期と呼ばれ、サランゴと呼ばれる強力な首長を戴いた首長制社会が成立していたことがスペイン人の残した記録から明らかになってます。最終的に15世紀後半にタワンティンスーユ(インカ帝国)の皇帝 トゥパク・インカ・ユパンキによって征服されました。後にインカ帝国は、北はエクアドルとコロンビアとの国境、南はチリ北部にいたる南北4000kmを支配するまでの大帝国になりました。
つまり、「裸国」「黒歯国」は、最終的に、インカ帝国に征服された、ということになります。
インカ帝国と言えば、最近は、マチュ・ピチュ遺跡がよく話題になりますね。天空都市として有名で、世界遺産にも登録されてますが、何のために作られたのかは、皇帝の離宮あるいは宗教施設など、諸説あります。
<マチュ・ピチュ遺跡>
<インカ帝国末裔とされるケチュア族>
(Wikipediaより)
さて、「裸国」「黒歯国」の末裔は、最終的にインカ帝国に征服されたわけですが、それとともに「裸国」「黒歯国」の文明は消えてしまったのでしょうか?。
ここからは推測になりますが、彼らの文明は、何がしかの形で、インカ帝国に引き継がれていった可能性はあります。
その痕跡はあるのか?、ですが、いくつか挙げることができます。
一つ目は、現地の言葉です。
インカ帝国の中心はペルーですが、ペルーの南、ボリビアとの境に「チチカカ湖」という大きな湖があります。この名前が、古代日本語の影響を受けているのではないか?、との説があります。
「ああ、それなら聞いたことがあるよ。「父母(チチハハ)湖」でしょ。」
との声が聞こえてきそうですが、残念ながらそうではありません。
古田氏の説によれば、古代日本語では、「チ」とは、”(古い)神様”を表すといいます。確かに、古代日本語には、「チ」のつくものが多いですね。大国主命の別名である「オオナムチ」、スサノオノミコトが退治した「ヤマタノオロチ」などです。
また、「カ」とは、”神聖な水”を表すといいます。「河」「川」の「カ」です。
”「チチ」も「カカ」も、南方型の言語に多いダブリ表現で、これを合わせたものが「チチカカ湖」だ”,との説です。つまり、「チチカカ湖」とは、「神聖な神の水」となります。
これは、つじつまを合わせるために作った説ではなく、前々から古田氏が唱えていた説でした。その後、実際に現地調査に行ったところ、なんと原住民のアイマラ族の言葉で、「チチカカ湖」とは、「太陽の神から授かった神聖な水」との意味だということがわかりました。
現地調査では、他にも共通すると思われる言葉が、見出されました。
これは、単なる偶然でしょうか?。
もうひとつ、根拠を挙げます。
インカ帝国は文字文化をもちませんでした。その代わりに、、キープと呼ばれる結び縄による数字表記が存在し、これで暦法や納税などの記録を行いました。さらに、このキープが、言語情報を含んでいることがわかってきました。
<キープ>
(Wikipediaより)
キープは紐の結び目の形で数を表現するため、「結縄(けつじょう)」とも呼ばれています。
この「結縄」ですが、古くから日本にあるものです。
”「結縄」は、中華民族の始祖とされる伝説の伏羲が行ったとされ、日本列島では、沖縄や房総半島や北海道で昭和時代まで使われていた。沖縄では、琉球王国時代から徴税事務や日常活動において数量を数える表示・記録の手段として用いた。沖縄では結縄を「ワラザン」「バラザン」などと称し、単位を区別するために紐には太さや材質の異なる複数の藁を用いた。この制度は琉球処分後も継続された人頭税が廃止される1903年まで継続された。”(Wikipediaより)
また、日本の縄文土器についても、複雑につけられた縄目の模様が、製作者の芸術的センスのみでつけられたのではなく、ある種の数字や記号を表している、との説が唱えられています。
キープと同じ発想ですね。
はたして、このように似たような方式が、太平洋を隔てた東側(南米)と西側(日本)に存在しているのは、なぜでしょうか?。たまたま偶然、同じようなやり方を、それぞれの先祖が思いついたのでしょうか?。
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