古墳は語る(5)~甕棺の伝播ルートとは?

ところで、甕棺葬の風習は、古代東南アジアにもあったことが、知られています。以下、「ベトナムの甕棺葬ーその起源に関する予察ー」(山形真理子)からの、抜粋です。

”インドシナ半島東岸にあたるベトナム中部には、甕棺墓を特徴とする鉄器時代サーフィン文化の遺跡が分布している。サーフィン文化は紀元前3世紀頃から後1世紀頃まで続いた文化で、北部九州の弥生時代甕棺葬が行われた時期と、おおむね並行している。どちらの文化も、成人の死者を土器棺に納めて集合墓地に埋葬する習慣をもっていた。”

これはベトナム南部ホーチミン市のゾンカーヴォ・ゾンフェット遺跡なども同様であり、またベトナム北部の華やかな青銅器群で知られるドンソン文化でも、甕棺墓の風習があった、としてます。また、島嶼部他地域では、サーフィン文化より古い時期の遺跡があり、甕棺墓も発見されてます。

さらに東北のタイでも、後期旧石器時代(紀元前二千年紀前半)に、成人用甕棺墓が発見されてます。また、フィリピンのパラワン島でも、サーフィン文化と類似した甕棺墓がみられます。

筆者は、これらがどのように伝わってきたのか、について考察を進めてます。

ひとつは、(中国南部・台湾から南下して)南シナ海を越えてインドシナ半島の海岸に到達したオーストロネシア語族によって、サーフィン文化が形成された、とする説です。そしてもう一つは、ベトナム在地の諸文化の発展の結果形成された、というものです。

<考古学・言語学からみたオーストロネシア語族の拡散年代(Bellwood,2004,P27)>
オーストロネシア拡散


後者は、ベトナム考古学から支持されているとのことです。どこの国でもそうでしょうが、「自国の文化は自国民によって作られた」と考える傾向は強いようです。

筆者は、どちらかということではなく、”他地域と相互に関連しあいながら、長い時間をかけて何回も繰り返された人の移動と、多方向の往来の集積のほうが、より重視されるべき”と、しています。そして、中国南部からのオーストロアジア語族の南下と稲作の伝播を重ね合わせる仮説との関連についても言及してます。

確定的な結論は出ておらず、今後の研究成果を期待したいところですが、これを前にお話ししたY染色体DNAからみた人類移動から、みてみます。


日本渡来ルート(Y-O系統)

この移動図でみると、中国南部から2つのルートで南下していることがわかります。ひとつが大陸を南下するO2a系統(オーストロアジア語族)、もうひとつが台湾を経由して海上を南下するO1系統(オーストロネシア語族)です。

ちなみに、O2a系統はオーストロアジア語族ですが、日本列島にやってきた渡来系弥生人(O2b)もオーストロアジア語族と姉妹関係にあります。

この2つのルートで伝わったと考えれば、すっきりと説明できるのではないでしょうか?。

そして同じような時期に、日本へも海上ルートで伝わった可能性が高いと考えられます。

以前、渡来系弥生人の渡来時期・ルート推定図を示しました。この移動は、様々な集団に属する多くの人々が、長い年月をかけてやってきたと考えられます。その集団のなかに、甕棺墓の習慣をもった人々がいたということでしょう。

日本への渡来ルート 

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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。

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