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宗像神を祭る神社データは語る(2)~三女神の分布の違い

さて全国の宗像神を祭る神社は3532社ありますが、そのすべてが元来の宗像神であったわけではない、といいます。地名にもある八王子を祭る八王子信仰社は、のちに宗像神にすり替えられたと考えられます。
ここからは、八王子信仰社607社を除いた2925社について解析してます。

”宗像神が最も多く祭られているのは、広島県の240社で、以下山口・愛媛・三重・福岡の順となる。福岡県を信仰の出発点と仮定すると、宗像信仰は周防灘から瀬戸内へ集中的に広がったようにみえる。”
【解説】
宗像信仰は、福岡県から東へ向かい、瀬戸内海へ広がった、という指摘です。
 
ムナカタ神全国分布

三女神そろって祭られている神社は814社で、全体の約28%にすぎない。三女神を祭る神社の比率が多いのは、青森県を除けば西日本の諸県が多く、特に山口県が79%になっている。”
【解説】
宗像神というと三女神セットを考えがちですが、実際には三女神セットの神社は3割にも満たない、ということです。しかも三女神セットの神社は、西日本が多いということです。意外ですね。

”最も多いのは、三女神のうちイチキシマのみを祭る神社で、1755社と全体の60%を占める。その比率は遠方の諸県で高く、北海道・東京都・大阪府と茨城・群馬・埼玉・富山・岐阜・三重・兵庫・奈良・和歌山・宮崎の諸県では、80%以上がイチキシマ一神を祭る。
タゴリのみを祭る神社は151社あるが、栃木県に61社が集中していて、他には少ない。
タグツにみを祭る神社は69社と少なく、北陸地方にやや多く分布する。
このように少なくとも一部の地方では、三女神のそれぞれが選択的に単独で祭られてきたことがわかる。二神の組み合わせはさらに少ない。また注目されるのは、宗像神の海神のイメージにもかかわらず、栃木・群馬・埼玉など、海のない諸県に多くの宗像神が祭られていることである。
このような分布の特徴を図1に示す。三女神を祭る神社が多いのは中国地方以西であり、それ以東では少数の例外を除きイチキシマ一神の比率が圧倒的に多い。このことは、イチキシマ信仰の伝搬が先にあって、その後宗像神社の三神化がその近隣諸地方に波及した、と解釈できよう。そして他の二神も、三神化以前のそれぞれある程度の信仰域を持っていたと見られる。”
【解説】
三女神のなかでもイチキシマのみを祭る神社で60%、ついでタゴリで約5%と急減して、タグツのみを祭る神社は約2%に過ぎません。そして三女神を祭る神社が多いのは中国以西であることから、興味深い推測をしています。すなわち、
”三女神はもともとセットで存在したのではなく、それぞれ信仰域をもっていた。そのうちもっとも伝搬が早く信仰域が広かったのはイチキシマ信仰であり、あとになり三女神化が波及した。
という仮説です。

実に大胆な仮説ですが、確かにもとから三女神がセットであれば、なぜイチキシマ信仰だけ突出して、しかも遠方の地域で広まったのかという理由が考えにくいです。
逆に、先行してイチキシマ信仰など単独神の信仰があったとすると、あとから三女神化しようとしても、一度根付いた信仰というものをなくすのはなかなか困難でしょうから、グラフのような分布になるのも頷けますね。

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テーマ : 歴史
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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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