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宗像と宇佐の女神(3)~宇佐神宮が力をもちえた理由とは?

さて宇佐神宮に関する疑問として
1.なぜ八幡神が祭られているのか。
2.なぜ応神天皇が習合したのか。
3.比咩神とは何か。
4.なぜ宇佐神宮が、皇位継承にまで関与するほどの力をもっていたのか。

がありました。

1は、秦氏(新羅系)との関係でした。
2について、矢田氏は
”神功皇后の子の応神が九州生まれとされることから、応神信仰を持ち込むことにより大陸への玄関口九州の有力神となることで朝廷へのアピールを狙ったのであろう。”
と推測してます。

これはこれでいいのですが、何かもう一つ足りない気がします。
この疑問は、4の「なぜ宇佐神宮が、皇位継承にまで関与するほどの力をもっていたのか?」という疑問にも関連します。

4の疑問は、難解です。確かに秦氏が銅の採掘で巨万の富を築き、ヤマト王権中枢にまで深く食い込んでいたから、というのも大きな理由でしょう。
しかしながらそれでも、皇位継承にまで力を及ぼせるのか?、という疑問が残ります。伊勢神宮のほうが上なのだから、伊勢神宮にお伺いを立てれば済むはずです。
ではなぜでしょうか?。

ここで面白い説を紹介します。古田武彦氏の説ですが、この説によると、上の疑問がきれいに解決するのです。その説とは、
”天武天皇は、九州王朝系の王(子)、具体的には「豊国」の王(子)だった。”
というものです。

何を突然、と思われた方も多いと思われます。

しかしながら、実は天武天皇の出自は、詳細がよくわかっていません。年齢も、兄である天智天皇より上との説もあります。
また天武天皇の即位前の名前は「大海人御子」で、明らかに「海人族」です。
684年(天武天皇13年)に、八色の姓が定められます。その最高位、真人(まひと)は、13氏に与えられたとされてます。一方、天武天皇の和風(国風)諡号は天渟中原瀛真人天皇(あまのぬなはらおきのまひとのすめらみこと)です。
通説では、八色の姓は、天武天皇が与えたとされますが、天皇が13氏と同じ位(真人)というのも変ですし、自分で自分に「真人」を与えるのもおかしいということから、真人とは、九州王朝が与えた位ではないか、天武天皇もそのうちの一人だったのではないか、と推測してます。

また側室に尼子娘(あまこのいらつめ)がいますが、筑紫国宗像郡の豪族・胸形徳善の娘です。宗像と強い関係をもっていたことがわかります。同じ北部九州出身の海人族だった可能性があります。ちなみにその第一皇子が高市皇子で、孫が有名な長屋王になります。

この説の詳細はいずれということにして、確かに天武天皇が豊国の王(子)だったとすると、上の疑問をきれいに説明できます。

まず1ですが、天武天皇が豊国王(子)とすると、新羅系だった可能性があります。となると秦(八幡)を祭るのは自然です。
2は、神功皇后は新羅系とされており、その子の応神天皇も新羅系になります。その応神天皇を祭るのもありえる話です。
4は、当時は天武系の天皇が続いてることを考えればありうる話です。東大寺大仏を建立した聖武天皇道鏡事件の当事者だった称徳天皇は、天武天皇直系です。天武天皇出身地の宇佐神宮の権威を利用した、というのは充分に考えられます。

どうでしょうか。皆さんは、どのように考えますか?


天武天皇系譜


最後に残った疑問の3、比咩神とは何か?、については、次回以降詳細にみていきます。

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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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