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宗像と宇佐の女神(10)~比咩神・セオリツ・オカミ・宗像神の関係

前回、論文では、
ヒミ(比咩)
⇒ヒメ 
⇒(セオリツ)ヒメ
⇒姫 に統一
と変化した、と推測してる、という話でした。

論文では、それをデータから論証してます。

”比咩神の中で最も早く祭られたと考えられるのは「単比咩」であるが、これは図3に示したように八幡系比咩神の発祥の地と考えられる福岡県と大分県には少ない。図4に単比咩から変化したと考えられるセオリツとタギツ単神を合わせて示した。両神は全国に分散するが、セオリツが福岡県にやや多いことを除けば、やはり北部九州にはそれほど多くはない。これに対してオカミ神は、既報で見たように福岡・大分の両県にまたがって集中するが、図5に示すように海を渡って愛媛県にも多く祭られている。”

【解説】
図4は、単比咩からから変化したと考えられるセオリツとタギツ単神の分布です。セオリツ単神が静岡、鳥取、岡山、岩手、三重が多く、タギツ単神が、新潟、石川、広島が多いです。一方北部九州は、セオリツが福岡のやや多いことを除けば、多いとはいえません。
これに対して図5のとおり、オカミ神は、福岡・大分から海を渡って愛媛・広島に多く分布してます。

図4セオリツ・タギツ 


図5オカミ神



”このように西日本に多いオカミ神の分布を、郡単位で見たのが図6である。この図には、上記三神の分布を重ねて示した。オカミ神は四国では愛媛県のみに集中して祭られ、北部九州のオカミベルトと繋がっていることがわかる。一方中国地方では北九州に近い西端部と広島県と岡山県の県境を挟んだ地域から鳥取県西部にかけてのベルトが見られるが、これは既報で見た宗像神集中域とほぼ重なっている。ここは中国山地の鉱物資源を北は日野川、南は芦田川と高梁川へと搬出する南北横断路であったと推定される。”

【解説】
オカミ神の分布は、九州北東部から海を渡った四国の愛媛県にも集中しており、同じ信仰圏であることがわかります。

図6オカミ分布


「広島県と岡山県の県境を挟んだ地域から鳥取県西部にかけてのベルト」とは、以前お話しました。
宗像族が分水嶺を越えて瀬戸内海方面へのルートを開拓していたことを示す。このような南北交通の起源は、縄文時代にまで遡るようである。”
詳しくは、
aomatsu123.blog.fc2.com/blog-entry-241.html
を参照ください。

<既報図>
中国地方宗像神伝播ルート

八幡系の単比咩とセオリツおよびタギツ単神は、北部九州ではほぼオカミベルトの中に収まっており、この四神の親近感が強いことが分かる。愛媛県では瀬戸内沿岸にセオリツが分布し、対岸の中国地方と呼応している。上記中国横断路にもセオリツが一部他の二神と共に分布するが、山口県と岡山県にかけての広い範囲のオカミ神空白地帯には八幡系比咩神が多少のセオリツやタギツ単神とともにかなりの密度で分布する。

【解説】
北部九州では、単比咩・セオリツ単神・タギツ単神・オカミが、同じ信仰圏にあることがわかります。愛媛県瀬戸内海沿岸と対岸の中国地方(広島から鳥取)にもその範囲は及んでいます。
問題は、山口県から岡山県にかけて、オカミ神の空白地帯があることです。これについて矢田氏は、この地域には”八幡系比咩神が多少のセオリツやタギツ単神とともにかなりの密度で分布する。”ことから、同じ信仰圏だ、としてます。
以上から、単比咩・セオリツ単神・タギツ単神・オカミの信仰圏は、北部九州から四国地方の愛媛、中国地方の岡山まで、広い範囲にわたっていた、と推測してます。
ではこの分布と、宗像神とはどのような関係でしょうか?

”対応する地域の宗像神の分布を図7に示した。上記オカミ空白域宗像神の濃厚な分布域に重なっていて、その約60%が八幡神に共祭されている三女神である。この地域の宗像神は、対岸の宇佐から八幡信仰と共に伝播した比咩神が、大部分が現在の宇佐神宮と同様最終的に三女神へ変化する途中で、一部がセオリツ・タギツの段階で止まったものと考えられる。
四国でもおおむねオカミ神の分布は宗像神と一致しているが、オカミ神の少ない宇和地方南部で宗像神の密度が高い。ここにタギツ単神を祭る2社があり、対岸の豊前南部から日向北部にかけてのセオリツ神などの分布に対応する。豊予水道を挟んでの宗像神を祭る海人族による交流が示唆される。”


【解説】
山口県から岡山県にかけてのオカミ空白域は、宗像神の濃厚な分布域と、見事に重なってます。このことから、対岸の宇佐から比咩神が伝わった際、セオリツ・タギツが、一部三女神に変化しないままとどまったのだ、というわけです。実に興味深い考察です。
四国の分布から、豊予水道を挟んでの宗像神を祭る海人族による交流が示唆される。”というのも、説得力がありますね。

図7ムナカタ神分布 


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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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