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宗像と宇佐の女神(11)~比咩神等の分布の統計学的解析

前回、北部九州から中国・四国地方にかけて、単比咩・セオリツ単神・タギツ単神・オカミの4神、八幡系比咩神が広く分布しており、同じ信仰圏だ、という話でした。
今回はこれを、全国的分布からみていきます。統計の専門的な言葉が出てきますが、それらはざっと読み飛ばして、全体の傾向をつかんでいただければ、OKです。

比咩神とこれから変化したと考えられる三神とについて、各県の全社数に対する比を求めこれらを一括して図示したのが、図8である。四神を合計すると、それぞれの分布よりかなり均一化しているように見える。”

【解説】
一位は、大分になりますが、内訳をみるとそのほとんどがオカミ神です。二位は石川県で、単比咩率が高いことが要因です。三位の福岡県は、大分県同様ほとんどがオカミ神です。四位は対岸の愛媛県ですが、やはりオカミ神がほとんどです。
特徴的なのは、遠方の青森県が五位に入っており、やはりオカミ神がほとんどを占めていることです。日本海を介した海人族の交流がうかがえます。
八位の岩手県も注目です。セオリツが多くを占めますが、これも海人族の介在を推測させます。

<図8>
 比咩派生4神分布 


”これを統計学的な手法で数値化してみよう。変数のバラツキの大きさを示す量として標準偏差(σ)を 変数の平均(Xに上バー)で除した変動係数CVが用いられる。
図9に国内の代表的な神々の都道府県分布の変動係数を、それぞれの神社数に対してプロットした散布図として示した。一般的な傾向として、その神を祭る神社が多いほど変動係数が低下する、すなわち分布が均一化する傾向が認められる。この傾向を対数関数の近似曲線で示した。天照大神(アマテラス)や稲荷神社の祭神(倉稲魂などと表記)や全宗像神などがこの近似曲線上にあり、これらの神が祭神分布の平均的挙動を示すことが分かる。一方八幡神(ここでは応神天皇とその別名の神を祭る神社)はこの曲線の下にあり、最も普及しているこの神が国内で最も均一に祭られていることを示す。”

【解説】
図9は難しそうなグラフですが、ようは左にいくほど祭られている神社数が多く、下にいくほど分布が均一化する、すなわち全国まんべんなく分布する、ということを示してます。全体として右下がりのグラフになってますが、神社の数が多くなればなるほど、全国での分布は均一化していく、というのは、感覚的にもわかりますね。
その代表的なものが八幡神で、もっとも右下に位置してます。

<図9>
比咩神派生変動係数  
”これに対して本報で検討して来た四神の分布を見ると、出発点と考えられる比咩神は、図3で見たようにかなり偏った分布を示す。特に宇佐神宮で当初祭られていた比咩(大)神(単比咩として示す)の偏りが大きい。ところが前報で推定した変化の順序に従って他の三神を加えて行くと、四神では近似曲線からかなり下にプロットされる。図8で見た分布の均一化が、数値的に確認された。

宗像神
について見ると、既報のように栃木県に偏ったタゴリ単神(宗像神のうちタゴリのみを祭る神社)の偏りが特に大きいが、三女神セットもバラツキがかなり大きく、宗像神の三女神化が全国的ではないことを示す。これは三女神がそれぞれべつの起源を持って各地に祭られていたものが記紀神話の成立とその普及により三神化されてきたに拘わらず、旧来の祭神をそのまま伝えてきた神社がかなり残っていることを示すと思われる。三神の中ではイチキシマが近似曲線の下にあり、この神が広く全国に普及していたことを示す。”

【解説】
単比咩・セオリツ単神・タギツ単神・オカミの4神の分布が、左上の単比咩から右下の四神へと下がり、均一化されてくることがわかります。つまりそれぞれ偏在していた四神だが、合わせて考えるとまんべんなく分布するようになる、ということです。
ここから矢田氏は、だから四神はもともと同じ神名なのだ、といっているようです。確かにそうといえなくもありませんが、一方で対象データの数を増やせば、均一化するのは一般的なことであるので、必ずしもそうとはいえない、という見方もできます。

三女神セットはばらつきが多いことから、三女神がべつの起源を持って各地に祭られていたことを示している、というのはそうかもしれません。

さてここまでお話ししてきましたが、皆さんはどう思われたでしょうか?

なるほどそうだ、と思ったでしょうか?

矢田氏は膨大な統計データを解析して、鋭い考察をされてきたと思います。歴史学者でここまでされた方を知りません。そういう観点で、私は矢田氏を深く尊敬いたします。

しかしながら、後半の結論には賛同できない箇所が多く見受けられました。

特に、「比咩神=卑弥呼」には大きな疑問があります。
なぜなら、矢田氏によれば
比咩神=セオリツ=タギツ=オカミ神
ですが、それぞれの時代には、大きなかい離があるからです。

卑弥呼は3世紀前半ころの実在の女性です。

一方、セオリツ、タギツは神話の世界の人でしょう。三女神の二人であるイチキシマ、タゴリ縄文海人族の信仰と推定されますが、セオリツ・タギツも、前回の図4でみると、岩手、新潟、富山など、遠方の海人族の介在を推測させるエリアに多く分布しており、時代の古さを感じさせます。

オカミ神も神話の世界の話であり、前回図5のとおり栃木、群馬、福島、青森に多く祭られ、縄文海人族が関与するなど時代が古いことが推測されます。

また「邪馬台国=宇佐」と推定してますが、それが成立しえないことは、すでにお話しました。

矢田氏は、次回以降考古学的検証をしてますので、はたしてどうなのか、みていきましょう。

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プロフィール

青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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