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宗像と宇佐の女神(16)~銅鏡祭祀の始まり

さて魏志倭人伝によれば、魏の皇帝は卑弥呼に鏡を下賜しました。今回から、鏡の話です。

”日本で鏡が珍重されるようになったきっかけは、弥生中期はじめ頃朝鮮半島からの多鈕細文鏡(たちゅうさいもんきょう)の流入であった。この鏡は凹面鏡で姿見には適さず、はじめから祭祀用品であったと考えられている。国内で中期前半までに出土するのは、すべてこの鏡で、11遺跡から12面が出土している(以下野内智一郎らの報告による)。出土時期の明確な例はすべて甕棺文化地帯にある。原(はるの)辻・宇木汲田(くんでん)(長崎)・吉武高木(福岡)・梶栗浜(山口)の各遺跡では、朝鮮半島製の銅剣と共に出土している。同じく甕棺文化圏内の佐賀県小郡若山遺跡(2面出土)は、水辺の祭祀遺跡と考えられている。遠方の奈良県・大阪府・長野県の例も墳墓からではないので祭祀品と考えられているが、埋納時期はいずれも明確ではない(注)。他地方の多鈕細文鏡は、北部九州からの人の移動にともなって後年に持ち込まれたと考えるのがもっとも自然である。

【解説】

日本で最古の鏡は多紐細文鏡(たちゅうさいもんきょう)で、朝鮮半島からもたらされたと推定されます。
”多紐細文鏡とは、鏡の裏面に紐を通す鈕(ちゅう)が2、3個付いており、細線の幾何学紋様を施した朝鮮半島系の銅鏡である。弥生時代中期前半に伝わった。”(Wikipediaより)

 そしてその時期は弥生中期はじめころです。弥生時代中期はじめとは、最近の年代観でいうと、紀元前5~同4世紀ころになります。私が「天孫降臨時期」と推測する年代と、ほぼ重なることに注目ください。
鏡は北部九州の文化であり、人の移動にともない畿内に持ち込まれたというのも、鏡の出土状況からみて、当然な推定です。

ところで皆さんのなかには、
”卑弥呼の鏡とされる「三角縁神獣鏡」は畿内中心に出土しているのだから、この考えはおかしいのではないか?”
と思われた方もおられるでしょう。
これに対して、論文では(注)で解説してます。

”(注)なおこの鏡は、「三角縁神獣鏡卑弥呼の鏡説」を鼓吹した小林行雄氏が「鏡信仰畿内発生説」のよりどころとした。当時は出土が四面しかなく、そのうち二面が近畿の鏡で、北部九州ではまだ宇木汲田の一面のみであった。このことから同氏は北部九州では鏡信仰は根付かなかったと考え、近畿地方で今後この鏡の出土が増えるだろうとの希望的観測をしたが、その後の出土は全く逆で、増加したのは長野の一例を除けばすべて北部九州であった。”

「三角縁神獣鏡卑弥呼の鏡説」は、考古学界の大御所である小林行雄氏が主張したため、今だに学会でも主流のようです。テレビ・マスコミもそうした方向で報道するので、一般国民もそのような認識です。
ところが、データを冷静に分析すればありえない話です。
もっとも小林氏の時代は、出土数が少なかったので、あくまで「想像」するしかなかったわけで、致し方なかったといえます。このテーマはのちほどまた取り上げます。

<多鈕細文鏡>

多鈕細文鏡 

(大阪府柏原市HPより)

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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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