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隋書倭国伝を読む その1 ~ なぜ倭国伝(わこくでん)ではなく俀国伝(たいこくでん)なのか?

今回から、隋書倭(原文は俀(たい))国伝を取り上げます。前回まで取り上げた宋書倭国伝より、200年ほど時代は、下ります。実は、この二書の間には、梁書をはじめとして、倭国に関する史書がいくつかあるのですが、内容が重なるものが多いので、今回は割愛します。

隋書は、本紀5巻、志30巻、列伝50巻からなり、顔志古らにより編纂され、656年に完成しました。倭国に関する記述は、列伝第46条東夷のなかにあります。

隋書倭国伝(ずいしょわこくでん)と呼ばれてますが、実は、原文には、倭国との記載はなく、すべて俀国(たいこく)となってます。しかしながら、通常は倭国の書き誤りとされています。
どこかで聞いた話ではないでしょうか?。そうです。魏志倭人伝における邪馬壹国→邪馬台国への安易な原文改定です。そのさいも書き写しの際の書き誤りということになっており、ほとんどの方は、その事実すら知りません。詳しくは、以前のブログ
「邪馬台国」という国名は存在しなかった!?(2015/3/22号) 」
を参照ください。

隋書俀国伝の場合も、全く同様のことが起こってます。
ここでは、原文どおり、隋書俀国伝とします。

隋書俀国伝の原文です。

隋書俀国伝2

では、俀国(たいこく)とは何なのか、です。詳細は、回を改めてお話ししますが、結論を先に言うと、「大倭国(たいいこく)」のことです。では大倭国とは何か、ですが、もとは倭国(いこく)であり、それが時代を経た美称として、大倭国となったと考えられます。つまり、

倭国(いこく)
 ↓
大倭国(たいいこく)
 ↓
俀国(たいこく)

となります。
これだけだと、わかりにくいですが、以前お話ししたように、
邪馬壹国(やまいこく)の壹国(いこく)=委国(いこく)
ですから、これを加えると、

委国(いこく)=壹国(いこく)
 ↓
倭国(いこく)
 ↓
大倭国(たいいこく)
 ↓
俀国(たいこく)

となります。
そしてこの俀国(たいこく)が、邪馬臺国(やまたいこく)の臺国(たいこく)と共通していることに注目していただきたいと思います。つまり、ここからも

邪馬国(やまいこく)
 ↓
邪馬国(やまたいこく)

の流れが、見てとれます。

それでは、なぜわざわざ俀の字を使っているのでしょうか?。
それについては、中国人学者の張莉氏(同志社女子大学准教授)が、以下のとおり述べてます。
「俀もまた、一方で「大倭(たいヰ)」の音を表しながら、「女」を字中に含ませることにより、卑弥呼の女王国を彷彿とさせる意味を含ませた語であると思われる。繰り返し述べるが、このような修辞法は古代中国では、古くより多く行われている。」(「倭」「倭人」について、立命館大学白川静東洋文字文化研究所紀要第七号より)

なかなか説得力のある考え方に思われますが、いかがでしょうか?。

以上、少し話が複雑になってしまいましたが、詳細は、いずれお話しします。
ここでは、隋書の原文には、倭国(わこく)ではなく、俀国(たいこく)と書かれていることを、頭の片隅にいれておいてください。

次回から、本文に入ります。


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テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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