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沖ノ島祭祀を執り行ったのはだれか?(10)~祭祀の回数は天皇在位数に対応する?

前回まで、沖ノ島祭祀の謎として、5つの謎を挙げました。
具体的には
1.なぜ沖ノ島で行われたのか?
2.何のために祭祀が行われたのか?
3.なぜ史書等に記載がないのか?
4.祭祀遺跡は祭祀場所か?
5.同種奉献品の数の多さと雑多さの理由とは?

です。

論文でも
”沖ノ島 祭祀遺跡は従来の定説で 十分 説明 できない多くの特徴をもつ。”
と述べてます。

ではどのように解釈したらいいのかです。

論文では、鏡、石製品、蕨手刀子、鋳造鉄斧、捩り環頭太刀、装飾太刀、馬具、胴丸式小札甲などを、詳細にデータ分析してます。
分析結果から、”特に18 号遺跡に対応する祭祀の開始は3世紀末 から 4 世紀初頭 に遡る可能 性が強い。”と述べてます。
また、
”21号遺跡では、4世代にわたる臼玉も出土しているので、この「遺跡」が長期間にわたって繰り返し利用され たことがかなり確からしい。”

とも述べてます。

つまり、沖ノ島祭祀の開始時期について、通説では4世紀後半から、となってますが、3世紀末から4世紀初頭からではないか、と推測してます。また、祭祀も、「1遺跡=1祭祀」ではなく、繰り返し利用された遺跡がある、とも推測してるわけです。

これらから、
時期別に、以下の祭祀回数を推測してます。

4世紀(中葉以降) 3~4 回( I 岩 2~ 3 回、 F 岩 1 回)
5世紀  8~ 9 回( I 岩 2~ 3 回、 F 岩 3 回、C岩 1 回、 D 岩 2 回)
6 世紀  4 ~5 回( I 岩 1~2 回、 F 岩 1 回、 D 岩 2 回)
7 世紀後半 3 回(C、 M 、 L 岩各 1 回)
8 世紀以降は 多数回(1 号遺跡( 遺構))


8世紀の回数が不明ですが、少なくとも4世紀中葉~7世紀後半までで、20回程度となります。ここから

”この祭祀回数が実際に近いとすると、これは多くの時代でほぼ天皇の代数に相当する期間が多いことが指摘できる。あるいは 沖ノ島 祭祀も、 出雲国造 による「出雲国造 神賀祠 」奏上と同様、天皇の継承儀礼の一つとして 継続された のではないか。”
”沖ノ島 祭祀の各回は、 5 世紀以降に限れば 原則としてほぼ天皇の各代 に対応 すると見られる ので、祭祀が即位後の継承儀礼の一つとして続けられてきたと見ること も 可能であろう。”
と推測してます。


祭祀と天皇在位の関係を整理します。

沖ノ島遺跡と天皇 
表をみると、ある程度論文の内容のとおりともいえそうです。

しかしながらそれだけでは、納得できません。
論文でも、
”しかし単なる定例的祭祀では、先に見た膨大な量の祭祀遺物、 特に 5 世紀後半から7 世紀代の豪華な品々は、説明できそうもない。それには他の歴史的イベントがあるはずである。以下にそれを探ろう。”
と述べてます。

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テーマ : 歴史
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プロフィール

青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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