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沖ノ島祭祀を執り行ったのはだれか?(17)~椎ケ元観音と磐井

前回は、津屋崎古墳群のうちの「宮地嶽古墳」について、九州王朝系ではないか、との説をお話ししました。

では津屋崎古墳群のなかに、他にも九州王朝系の痕跡はあるでしょうか?。

実は興味深い伝承がいくつかあるのです。

須多田古墳群と大石古墳群の間に、筑紫の君磐井が建立したといわれる寺の伝承地があります。

”大石には椎ケ元観音様が祭られており、その由来記によると、この地に龍光山恵華寺という大きな寺があり、筑紫の国造磐井の孫、大石麻呂の建立したものであると伝えられている。隣の区須多田の須多麻呂、福間町津丸の磐津麻呂とは三兄弟で、須多田・津丸とは結婚はしなかった。”(「ムラの歴史伝承」(津屋崎町の民族編)より)

”本尊は桧の一本造りで、平安時代中期の観音立像です。聖(正)観音あるいは十一面観音ともいわれてますが、現在の像容からはいずれとも判断できません。33年ごとの御開帳以外は、秘仏として堂内の厨子に納められています。
言い伝えでは、昔はこの地に龍光山恵華寺という大寺があり、本像はその本尊でしたが、1560年頃の兵火により焼失、その後もたびたびの災難にあって一時はその所在すらわからなくなってました。
ある時、境内の椎の木の根元に立っている本像を発見。村人は新たに観音堂(円福寺)を建て、椎ケ元観音と呼んで祀ることにしました。”(境内解説石碑より)

椎ケ元観音
 
以上 https://tizudesiru.exblog.jp/239398488/ より

”江戸時代後期に福岡藩士・青柳種信が編纂した地誌「筑前国続風土記拾遺」によると、
「観音像は長さ5尺余り。奈良時代の聖徳太子の作で、近くの水上の溜池の横にあったという「龍光山恵華寺」から移された」としてます。”
https://blog.goo.ne.jp/magpie03/e/62f1a2b7adc3739829253a4804acdb93 より


福津郷土史会によると、
①今はないが昔,大石水上池のほとりに龍光山恵花寺という大きな寺があった.
 寺には七堂伽藍が備わり,多くの参詣者があった.
②本尊は聖徳太子の霊木で彫られ,霊験あらたかであった.
③寺は磐井の乱で討たれた筑紫君磐井の菩提のため建立され,建立者は磐井の七代の孫,大石麻呂,須多麻呂,磐津麻呂である.乳母小児を「召連れ」宗像の地に落来る.
④建立の時期は崇峻天皇5年である.
⑤宗像氏俊(1300年代)のため彼らは農民とされた。
 https://trakl.exblog.jp/17748192/ より

3つほど挙げました。多少の違いはありますが、内容は一貫してます。
地元に、磐井にまつわる伝承が伝わっているのには、驚かされます。

まず注目は、龍光山恵花寺の建立時期です。
寺建立の崇峻天皇5年とは、591年ころとずいぶんと古い時期です。
日本最古の寺院といえば、蘇我氏が建立した飛鳥寺(法興寺)とされますが、建立の時期は6世紀末から7世紀初頭にかけてとされます。それと同時代あるいはより古い可能性もあることになります。


もうひとつの注目は、十一面観音です。十一面観音とは、
”日本では、奈良時代から十一面観音の造像・信仰は盛んに行われ、法隆寺金堂壁画(1949年の火災で焼損)中の十一面観音像が最古の作例と見なされる。”(Wikipediaより)
とあります。

椎ケ元観音について、”現在の像容からはいずれとも判断できません。”とあるとおり、劣化が進んでおり、十一面観音なのか何ともいえないのが残念です。
聖徳太子の霊木で彫られた”とあり、法隆寺金堂壁画中の十一面観音像との関連があるのかどうか、といったところに興味が惹かれます。
寺建立の崇峻天皇5年(591年ころ)ころに椎ケ元観音が作られたのなら、日本最古ということになります。
法隆寺十一面観音 
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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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