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日本神話の源流(2)~吹溜りの文化

では早速、日本神話の源流についてみていきましょう。

まず皆さんに質問です。

「日本神話はどのようにできたのでしょうか?」

大陸北方・朝鮮半島から伝わったのだ、という方もいるでしょう。
南方諸島から、という方もいるでしょう。
いやそうではない。日本人の祖先が自分達だけで作ったのだ、とい方もいるかもしれません。

はるかかなたの昔のことですから、結論づけるのは難しいでしょう。
しかしながら、世界を見渡し、どのような神話がどこに残っているのかを調べれば、何らかの痕跡が見出せるのではないか、そのように考えて多くの研究が今までされてきました。いわゆる「比較神話学」です。

ここではその「比較神話学」から、ひも解いていきます。多くの研究書がありますが、わかりやすくまとめられている「日本神話の源流」(吉田敦彦)を参考にさせていただきます。

”日本文化は、古来「吹溜りの文化」として形成されてきた。”

冒頭、この話から始まります。
簡単にいえば、
日本列島はアジア大陸の東端にあるので、
1.北は千島・樺太・沿海州を経由して独特な狩猟民文化を発達させた北方ユーラシアの森林地帯
2.西は朝鮮半島を媒介とした「騎馬民族」、旧満州・蒙古・カザフスタン・南ロシアにまたがる「ユーラシア。ステップ地帯」
3.西南は、朝鮮半島を介し、あるいは直接的、定住の農耕民・漁労民、中国南部からインドシナを経てインドにいたる、東南アジアのモンスーン地帯の東端
4.南は、台湾・フィリッピン、インドネシア・南太平洋、「南洋」「オセアニア」に位置する一方、東には太平洋が広がっている。

したがって、北・西・西南・南からの文化が、日本列島に入ってきてそこに留まるので、
「吹溜りの文化」と呼ぶ、ということです。

私は「吹溜り」という表現に、何となくきゅうくつで自虐的なイメージをもちますが、少なくともおおまかな流れをについて、うまく表現したものとはいえます。

ただし私はこの説にすべて賛同するつもりはありません。
日本の文化が大陸に伝播したという痕跡が数多く指摘されているところであり、本当に日本列島からは海外に向けて何も文化が伝播しなかったのか?、という点については、大いに疑問があるところです。
たとえば縄文文化が、どのようなルートを経由したかは別として、アメリカ大陸に伝播した可能性も指摘されているからです。

それはさておき、「吹溜り」の表現はおいておいても、少なくとも地理上の位置関係は上記のとおりであり、神話についても、このルートから入ってきた可能性が高いと考えるのは自然でしょう。

文化伝搬ルート  
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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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