日本神話の源流(22)~朝鮮半島神話との関係 高句麗建国神話
前回まで、ギリシア神話、ナルト神話、スキュタイ神話、日本神話に類似性がみられ、吉田氏はここから神話が
ギリシア→中央アジアステップ地帯→日本
と伝播した、と推測していることをお話ししました。
もしそうであれば、通過地域である朝鮮半島にも、同様の神話があるはずです。今回は、それをみてきましょう。
高句麗建国神話です。
あらすじは、次のようなものです。
・天帝の太子カイボソウ(天王郎)は、扶余王の旧都に降下した。
・城の北を流れる青河の河の神に、三人の娘がいた。
・天王郎は、彼女たちを妃としたいと思ったが、逃げられた。
・お付きの者の進言により、宮殿を造り、彼女たちを招き宴を開いた。
・彼女たちが酔ったところで扉を閉めたが、二人は逃げ、長女の柳花だけが捕まった。
・河底に逃げた二人が、河の神に報告したところ、河の神は怒り、使者を送り抗議させた。
・天王郎は深く恥じ、結婚の申し込みをするため、河の神のもとへ行こうと決めた。
・天王郎は、河の神の宮殿で自らが天帝の子であることを証明して、河の神の承諾を得て結婚した。
・河の神は、7日たたねば酔いがさめない酒を飲ませ、酔いつぶれた天王郎を柳花とともに、竜車に乗せて昇天させようとした。
・竜車が水上につかないうちに天王郎は酔いからさめ、柳花がさしていたかんざしを取って輿に穴を空け、そこから一人で天に昇っていってしまった。
・河の神は、柳花が自分の教えに従わず、家名を辱めたといって激怒して、彼女の口をしばり引きのばさせ、大伯山の南にある沢に追いやった。
・東扶余の国王の金蛙(きんか)は、沢の漁師の「魚を盗む者がいる」との訴えを聞き、網でとらえさせたところ、石の上に座った女があらわれ、自分は天帝の子の妃(柳花)であると名乗った。
・別宮に連れていき幽閉したところ、窓から差しこむ日の光により懐妊して、卵を産み落とした。
・卵から生まれたのが、朱蒙(しゅもう)である。
・朱蒙は、弓の名手となった。
朱蒙は、高句麗初代王の東明聖王(紀元前58-同19年)のことです。日本で、2006年から2007年にかけてドラマとして放映されたので、ご覧になった方もおられると思います。
この話について、
”明らかに日本の天孫降臨神話や、ホオリ(ヒコホホデミ)とトヨタマヒメの結婚により天皇家の祖先のウガヤフキアエズが生まれる話と、全体的にきわめてよく似た内容をもつ。”
また、
”・朱蒙が扶余を離れ高句麗の建国に行く途中で、亀の助けによって河を無事に渡ることができた。
という話が、
・神武天皇が建国に赴く途中で、亀の背に乗って出現したシイネツヒコの助けによって、海を渡ることができた、という神武東征神話中のエピソードと類似している。”
と述べてます。
このように、高句麗建国伝説と日本神話のなかの建国伝説的と共通点がみられることから、
”後者(日本神話建国伝説)が前者(高句麗建国伝説)から何らかの影響を受けたことは、ほとんど確実と考えられる。”
と指摘してます。
さらにこの話が、ナルト抒情詩のエクセルテグとゼラセの結婚話とよく似通っている、としてます。
これだけではわかりにくいので、高句麗伝説(天王郎ー朱蒙の父)、日本建国伝説(海幸彦ーウガヤフキアエズの父)、ナルト抒情詩(エクセルテグ)の話を、比較表にまとめました。
高句麗伝説(天王郎)とナルト抒情詩(エクセルテグ)の話では、三姉妹の一人を妻としているのに対して、日本建国伝説(海幸彦)の話では姉妹は二人です。
また天王郎は柳花を捕らえ、エクセルテグは鳩の姿をしたゼラセに重傷を負わせるなど、過激ともいえる経緯で妻と近づきになるのに対して、海幸彦とトヨタマヒメの話では、海の宮殿を訪れた海幸彦にトヨタマヒメが一目惚れするなど、ロマンチックに出会いそのまま結婚してます。
そのほか、義父がいるのは朱蒙だけであり、魔術によって宮殿や墓を出現させる話は、日本建国伝説にはありません。
以上のとおり、細部では異なる描写も多いですが、全体的なストーリーはよく似ている、といえそうです。
↓ 新著です。よろしくお願い申し上げます!!
ギリシア→中央アジアステップ地帯→日本
と伝播した、と推測していることをお話ししました。
もしそうであれば、通過地域である朝鮮半島にも、同様の神話があるはずです。今回は、それをみてきましょう。
高句麗建国神話です。
あらすじは、次のようなものです。
・天帝の太子カイボソウ(天王郎)は、扶余王の旧都に降下した。
・城の北を流れる青河の河の神に、三人の娘がいた。
・天王郎は、彼女たちを妃としたいと思ったが、逃げられた。
・お付きの者の進言により、宮殿を造り、彼女たちを招き宴を開いた。
・彼女たちが酔ったところで扉を閉めたが、二人は逃げ、長女の柳花だけが捕まった。
・河底に逃げた二人が、河の神に報告したところ、河の神は怒り、使者を送り抗議させた。
・天王郎は深く恥じ、結婚の申し込みをするため、河の神のもとへ行こうと決めた。
・天王郎は、河の神の宮殿で自らが天帝の子であることを証明して、河の神の承諾を得て結婚した。
・河の神は、7日たたねば酔いがさめない酒を飲ませ、酔いつぶれた天王郎を柳花とともに、竜車に乗せて昇天させようとした。
・竜車が水上につかないうちに天王郎は酔いからさめ、柳花がさしていたかんざしを取って輿に穴を空け、そこから一人で天に昇っていってしまった。
・河の神は、柳花が自分の教えに従わず、家名を辱めたといって激怒して、彼女の口をしばり引きのばさせ、大伯山の南にある沢に追いやった。
・東扶余の国王の金蛙(きんか)は、沢の漁師の「魚を盗む者がいる」との訴えを聞き、網でとらえさせたところ、石の上に座った女があらわれ、自分は天帝の子の妃(柳花)であると名乗った。
・別宮に連れていき幽閉したところ、窓から差しこむ日の光により懐妊して、卵を産み落とした。
・卵から生まれたのが、朱蒙(しゅもう)である。
・朱蒙は、弓の名手となった。
朱蒙は、高句麗初代王の東明聖王(紀元前58-同19年)のことです。日本で、2006年から2007年にかけてドラマとして放映されたので、ご覧になった方もおられると思います。

この話について、
”明らかに日本の天孫降臨神話や、ホオリ(ヒコホホデミ)とトヨタマヒメの結婚により天皇家の祖先のウガヤフキアエズが生まれる話と、全体的にきわめてよく似た内容をもつ。”
また、
”・朱蒙が扶余を離れ高句麗の建国に行く途中で、亀の助けによって河を無事に渡ることができた。
という話が、
・神武天皇が建国に赴く途中で、亀の背に乗って出現したシイネツヒコの助けによって、海を渡ることができた、という神武東征神話中のエピソードと類似している。”
と述べてます。
このように、高句麗建国伝説と日本神話のなかの建国伝説的と共通点がみられることから、
”後者(日本神話建国伝説)が前者(高句麗建国伝説)から何らかの影響を受けたことは、ほとんど確実と考えられる。”
と指摘してます。
さらにこの話が、ナルト抒情詩のエクセルテグとゼラセの結婚話とよく似通っている、としてます。
これだけではわかりにくいので、高句麗伝説(天王郎ー朱蒙の父)、日本建国伝説(海幸彦ーウガヤフキアエズの父)、ナルト抒情詩(エクセルテグ)の話を、比較表にまとめました。

高句麗伝説(天王郎)とナルト抒情詩(エクセルテグ)の話では、三姉妹の一人を妻としているのに対して、日本建国伝説(海幸彦)の話では姉妹は二人です。
また天王郎は柳花を捕らえ、エクセルテグは鳩の姿をしたゼラセに重傷を負わせるなど、過激ともいえる経緯で妻と近づきになるのに対して、海幸彦とトヨタマヒメの話では、海の宮殿を訪れた海幸彦にトヨタマヒメが一目惚れするなど、ロマンチックに出会いそのまま結婚してます。
そのほか、義父がいるのは朱蒙だけであり、魔術によって宮殿や墓を出現させる話は、日本建国伝説にはありません。
以上のとおり、細部では異なる描写も多いですが、全体的なストーリーはよく似ている、といえそうです。
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