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日本神話の源流(25)~三種の機能 インド・ヨーロッパ語族

 前回は、日本神話のなかの、三種の機能についてでした。

内容としては、
”日本神話のなかには、
1.主権者=祭司
2.戦士
3.庶民=食料生産
という3つの機能に分かれ、1の主権者と2の戦士が支配者として、3の庶民の上に君臨するのが社会のあるべき姿である、というイデオロギーが表明されている。”

というものでした。

さらにその概念は、
”単に社会のみならず、自然あるいは超自然界の正常な運行のために必要である、とみる考え方が表現されている(同書P206)”
と指摘してます。

この考え方はすでに、フランスの神話学者デュメジルの研究によって、インド・ヨーロッパ語族の古い文化に固有のものだったことが、明らかにされています。

たとえば、
ヒンズー教の「リグ・ヴェダ」
ゾロアスター教の「アヴェスタ」 
・古くは、ケルト・イタリック・ギリシア・ゲルマンなど
です。

さらにこの三種の機能は、社会のみならず、神々の世界(神界)も同様であるとして、
神界も、三種類の神々によって構成されると考えられていた。”(同書P207)
と述べてます。

この例として、ナルト抒情詩、スキュタイの聖宝、古代ローマ・ゲルマン神話を挙げてます。

そして、日本神話のなかでは、アマテラス、スサノオ、オオクニヌシが、その役割を担っている、としてます。

以上を整理したのが、以下の表です。


印欧語族三機能 

神界をひとつづつみていきます。 

まず、主権者グループ(第一機能)の構成ですが、インド・イラン人は、
ヴァルナ・ミトラ・アリヤマン・バガ
という四柱の最高神によって、共同して担当されると観念されており、同様の観念はローマ・ゲルマンの神界にも存在した、としてます。

一方、日本の場合はこれらが、
アメノナカヌシ・アマテラス・タカムスビ・カミムスビ
にあたる、としてます。

ここで、アメノナカヌシ・タカムスビ・カミムスビという神々ですが、
古事記の冒頭にある、「天地初発之時」(あめつちのはじめのとき)、すなわち天地ができたときに、高天原に生まれた神々です。
 
アメノナカヌシは、”高天原の中央にいて、世界万物に君臨する絶対的最高神格”(同書P212)であり、インド・イラン人にとってのヴァルナにあたる、としてます。

同様にして、
・祭司的司法者として、アマテラス
・民族共同体の守護者として、タカムスビ
・富の分配の管理者として、カミムスビ
を挙げ、それぞれイラン人としての、ミトラ・アリヤマン・バガにあたるとしてます。
ローマ・ゲルマン神話にも、同様の神々をあててます。

第二機能、第三機能についても、対応がみられるとしてます。
次の表でまとめました。

印欧語族主神格グループ 


きれいに対応しているようにみえますが、ひとつずつみれば、すんなりと肯定できないところがあります。

たとえば第一機能について、アメノナカヌシ・アマテラス・タカムスビ・カミムスビがあてられてます。
アメノナカヌシ・タカムスビ・カミムスビは、「天地初発之時」に生まれた三柱です。一方アマテラスは、アメノナカヌシの何代かあとの子孫です。

天皇家の先祖であり国土を支配したわけですから、第一機能であることは間違いありませんが、祭司的司法者といえるのか、という問題があります。それをいうなら、他の神秘的魔術師・民族共同体の守護者などには当たらないのか、という疑問が出ます。

世代の異なる三柱に混ざっていることを併せて考えると、すんなりとは腹落ちしませんね。

↓ 新著です。よろしくお願い申し上げます!!




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プロフィール

青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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