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日本神話の源流(31)~ゴンドワナ型神話の特徴

前回は、「世界神話学」についてでした。それは
”なぜ中央アジアステップ地帯やアジア大陸東南部で生まれ、日本に伝搬したとされる神話が、遠く離れたアメリカ大陸やアフリカにあるのか?。”という疑問を説明するための、最新の学説です。

前回は「世界神話」の中において、新しい神話群である「ローラシア神話」について、みてきました。そして日本神話が、すべてローラシア神話というわけではなく、より古い神話群であるゴンドワナ神話も含まれているのではないか、という話でした。

今回は、そのゴンドワナ神話についてみていきます。「世界神話学入門」(後藤明)を参照します。

なおここまで、
1.現生人類がアフリカにいたときにもっていた神話(パン・ガイア神話)
2.アフリカを出てアラビア半島からインドに到達したときにもっていた神話(出アフリカ神話)
3.そこから海岸沿いを東に進み、ニューギニア・オーストラリアに到達した人々がもっていた神話(ゴンドワナ神話)
としてましたが、後藤氏の本では、それらをすべて「ゴンドワナ型神話」としてます。

ゴンドワナ型神話の特徴ですが、
”叙情詩のように一つ一つの物語が関連して発展していくという形をとらないこと。”(同書P90)
としてます。
また
”ローラシア型神話の特徴が欠如した神話”(同書P91)

”世界がすでに存在している状態から物語が始まる。”(同書P91)
としてます。

この古い神話であるゴンドワナ型神話は、アメリカ先住民の神話へも影響がある、としてます。
特に南米最南端の集団にも色濃く残っている、として、
”最初に新大陸に渡った集団が、ゴンドワナ型神話を主体とした神話を持っていた可能性は否定できない。”(P111)
と述べてます。


ゴンドワナ型神話の特徴を以下のとおり挙げてます。

1.人間、動物、および擬人化された自然現象(同書P114)
宇宙の創造を語らないゴンドワナ型神話ですが、もっとも関心の高いテーマの一つが、「人間の起源」あるいは人間や動物と自然現象との密接な関係です。
例として、
・人間は瓢箪あるいは葦から生まれ出た(中央アフリカ)
・人間が土や水の中から這い出してきた(東南アジアのネグリトやメラネシア)
・自然現象が、かつては動物ないし人間だった。たとえば風はかつて鳥だった(カラハリ・サン族)

2.死の起源(同書P117)
もともと死者は死ぬたびに蘇っていたが、「あるきっかけ」から人間は死を選択するようになった、という話です。
「あるきっかけ」による死とは、「過ち」をしたことにより死ぬことになった、あるいは「誤ったメッセージ」のために死ぬようになった、という話です(アフリカ、アンダマン諸島、インド、アボリジニ)

3.親族に騙されてわが子を殺してしまう話(同書P121)
親族同志の葛藤ともいうべき物語です。骨子として、”二人の人物(姉妹とか近い親族同志など)に子供がいて、一人が子供を殺そうと提案したので、もう一方が自分の子供を殺してしまうが、言い出した方は単に子供を隠していただけだった”という話です。しばしば助かった子供は太陽になります(インド、マレーシア、インドネシア、アフリカ、アボリジニ)

4.天体の起源(同書P125)
天体は人間や動物と同じように、かつては地上に住んでいた、あるいは最初は地下から出現した、という話です(アフリカ、アボリジニ、ニューギニア、南米、東欧、インド、中国南西部~アメリカ大陸、アイヌ、オーストラリア)。

前回まで紹介した松村氏の論文とは異なり、
西ヨーロッパを除いたほとんどの地域に分布していることがわかります。

そしてその伝搬ルートについては、人類の移動ルートと一致するとしてます。

具体的には、アフリカから出た人類の祖先が、インド~東南アジア(スンダランド)へと渡り伝えた。そこから2つのルートに分かれ、
a.東に渡り、メラネシア・オーストラリアへ
b.アジア大陸東側を北上して、シベリア~アメリカ大陸へ

と移動するとともに、神話を伝えた、としてます。

日本列島は、bのグループに属します。

以上を図示しました。図では、Y染色体すなわち男性の移動ルートを示してます。

同書に記載されているゴンドワナ型神話の分布エリアを着色しましたが、着色されてない地域、たとえばアラビア半島からイラン・パキスタン他にも、分布している、あるいはかつては分布していたことでしょう。


ゴンドワナ型神話伝搬ルート
後藤氏は、ゴンドワナ型神話の特徴について、次のように述べてます。
”ローラシア型神話のようではないが、一般化するのは至難の業。
一つだけ確実に言えることとして、人間も動物も、そして神や精霊も、地上において一緒に暮らしていたとされることである。
夜空の天体もかつては生命をもち、人々の隣で暮らしていたとされる。それらの間に上下関係、階層関係はなく、平等な、相互依存関係こそあるべき姿だという主張が、その基底にはあるように思われる。”(同書P134)


後藤氏が指摘しているとおり、一般化するのは難しいですが、感覚的にいって原始的あるいは素朴な話が多いですね。

根底にアニミズムの思想があるといえます。
アニミズムとは、
動植物のみならず無生物にもそれ自身の霊魂(アニマ)が宿っており、諸現象はその働きによるとする世界観。 E = B =タイラーは、これを宗教の原初的形態と考えた。精霊崇拝。霊魂信仰。”
(大辞林第三版より)

こうした精神は、今もわたしたち日本人のなかにも流れています。

日本人は多神教です。八百万(やおろず)の神々という発想で、無意識のうちにすべての物に魂が宿ると考えます。
家を建てるときには、必ず地鎮祭を行います。それは、
”その土地の守護神(鎮守神)を祀り、土地を利用させてもらうための許しを得る”ためです(Wikipediaより)。

また私は小さいとき、祖父母から、”人は死ぬと夜空の星になるんだよ。”といわれたものです。

皆さんもこのような信仰を、身近に感じたことがあるのではないでしょうか?。

日本人には、ゴンドワナ型神話の精神が、今も息づいているといえるかもしれません。


↓ 新著です。よろしくお願い申し上げます!!




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プロフィール

青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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