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日本神話の源流(33)~日本神話のなかのゴンドワナ神話

前回は、日本の「釣針喪失譚」、すなわち海幸彦・山幸彦神話は、メラネシアあるいはスンダランドで生まれ伝わったのではないか、という話でした。そしてそれは、古い神話神話群である「ゴンドワナ型神話」に属する、という内容でした。

このように、日本神話のなかに「ゴンドワナ型神話」が見出せることがわかりましたが、他にもあるのでしょうか?。

後藤氏は以下の神話を挙げてます。

a.人間が動物界の一員だった頃(同書P240)
”アンダマン諸島では、祖先の大部分は動物の名前を持ち、その祖先はその動物と同一視される。
鷲やトカゲ、カニ、蛇、亀もかつては人間であったと考える。
アイヌの神謡「ユーカラ」では、しばしば動物が主人公として一人称で語る話がある。”

<解説>
人間が動物と同じ仲間である、という発想は、素朴です。科学的知識がない時代であれば一笑に付された思想でしょう。しかしながら遺伝子学の発達により、人間を含めたすべての動物は遺伝子レベルではつながっていることがわかった現代においては、むしろ古代人の直感、感性は正しかった、ということになります。


b.山の神とアニマル・マスター(同書P243)
”旧石器時代の彫刻にみられる女神は、狩猟採集民の間にみられる「山の神」に相当する。「山の神」の原型となる女神こそ、旧石器時代に出土するヴィーナス像であろう。
その原型は狩猟にまつわる神「アニマル・マスター」である。彼らは動物の主である「アニマル・マスター」という観念をもっていた。これは動物の支配者、狩猟されることを目的に動物の群れを放つ存在である。
アイヌのカムイの考え方はその一例である。”
<解説>
旧石器時代の女神は「山の神」であり、「アニマル・マスター」である、という思想です。縄文時代の土偶も女性像が圧倒的に多いことから、「山の神」にあたる、ということでしょうか。
ちなみに私たちは今でも、自分の妻について「うちのカミさんが・・」という場合がありますが、この「カミ」さんとは「山の神」のことであるという説があり、関連性がうかがわれます。

c.洪水神話(同書P245)
”洪水神話の起源として有力なのは、バビロニアであり、そこからギルガメッシュ抒情詩を経て、ヘブライ神話、そして旧約聖書のノアの方舟へと連なったと考えられている。
しかしゴンドワナ型神話、ローラシア神話ともに広く見られるので、旧石器時代に遡りうるモチーフである。
最初からこの世に海があり、始祖が天からあるいは舟でやってくる、とする「原初大海型」として、イザナギ・イザナミの国生み神話や沖縄の民話がある。”
<解説>
洪水神話といえば、旧約聖書の「ノアの方舟」を思い起こす人が多く、ローラシア型神話と考えられてきました。しかしながら洪水神話は世界中に広くみられるということから、より古いゴンドワナ型神話の可能性を挙げてます。
日本には原罰的な洪水神話がみられず、それが日本神話の特徴かもしれないとしてます(同書P181)。一方、洪水神話の別パターンとして「原初大海型」があり、国生み神話や沖縄民話がそれに当たるとしてます。

d.死の起源(同書P250)
誤った選択の結果、死を迎えるようになった、という話。古事記・日本書紀では、イワナガヒメとコノハナサクヤヒメのどちらかを選ぶというモチーフになっている(バナナ型神話)。
旧石器時代の遺跡には埋葬の証拠があることから、当時からすでに人類は死と再生の観念をもっていたと推測される。死の起源の神話はその当時から存在していたと推測できる。
<解説>
古事記・日本書紀では、”天孫ニニギノミコトが、イワナガヒメとコノハナサクヤヒメの姉妹との結婚をもちかけられ、美人のコノハナサクヤヒメとだけ結婚した結果、天皇の寿命が短くなった。”という有名な話です。「バナナ型神話」と呼ばれてますが、南洋に多く分布していることに加え、アフリカにも分布していることからも、ゴンドワナ型神話といえるでしょう。


d-2.脱皮型死の起源の神話(同書P253)
同じく死の起源の話であるが、かつて人間は蛇のように脱皮していたが、何らかのきっかけで脱皮できなくなったために死ぬ運命になったという話。琉球列島や台湾にある。
<解説>
上の死の起源の別バージョンです。太古の昔、人類は爬虫類の仲間の時代もあったわけで、先祖の記憶が神話に残ったという見方もできます。

e.土中誕生(同書P259)
人間は土中から出てきたとする神話。沖縄、とくに宮古・八重山の先島諸島にある。また大林太良氏によると、神功皇后が新羅から戻ったとき、黒いものをかぶった男女の英雄が土中から出現した(九州日向地方の民話、「塵袋」)という話や、甲賀三郎の説話(諏訪縁起)も、該当するとしている。

<解説>
人間の起源の話です。太古から「母なる大地」という思想があったことからしても、人間が土から生まれたというのも、自然な発想です。

e-2 ヴェジタリズム(同書P262)
土中誕生の別バージョンとして、人間は植物から生まれたとされる話。竹取物語や桃太郎も関連している可能性がある。
<解説>
上の別バージョンです。植物としては、アフリカのズールー族の”人間は葦の根本から発生した。”などの話があります。竹取物語や桃太郎も、竹や桃という植物から生まれたわけで、同じ発想です。物語が作られたのは新しい時代でしょうが、人間の深層心理のなかにあったものが物語となったのかもしれませんね。

e-3.粘土から造られた人間(同書P262)
旧約聖書「創世記」にある粘土から人間が造られたという話は、アフリカ、カナリア諸島、アンダマン諸島、メラネシア、ポリネシア、アボリジニに広がっている。土中誕生バージョンであり、旧石器時代に遡る可能性がある(同書P263)。
<解説>
人間が粘土から造られたという話は、聖書が知られてます。一般的にはそれが世界中に広まったとされてますが、分布から考えてより古いゴンドワナ型神話にあり、それが聖書に取り込まれたのではないか、と推測してます。日本にこの類の神話が残っているのかは、言及されてません。

以上を表にまとめました。赤字が日本列島です。



日本神話の中のゴンドワナ型神話 


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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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