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日本神話の源流(35)~世界神話伝播ルートを推測する

では、吉田氏ら通説のいう神話の伝播ーその多くはローラシア型神話の伝播ーとは、どのような関係になるのでしょうか?。

これは非常に難しい問題です。
世界中の神話がすべて採集されたわけではありませんし、数千年の歴史のなかでそれらの多くは消失してしまったでしょうから、統計データ解析しても、決定的なことまではいえません。

その認識のもと、これまでお話してきたことを元に、仮説を立ててみます。

1.私たちの祖先がアフリカにいたとき、すでに神話をもっていた。それはゴンドワナ型神話の祖型である。
2.10万年前ころアフリカから出て、アラビア半島を経て、インド~東南アジアにあったスンダランドまで到達した。彼らがそこでもっていた神話が、ゴンドワナ型神話である。
3.彼らの一部は、7万年前ころにメラネシア・ミクロネシアやオーストラリアへ渡り、神話を独自に発展させた。
4.別のグループは北上して、中国や日本列島にやってきた。さらに北上して、シベリアへ行き、西へ進み北欧まで行った。アメリカ大陸へ渡ったグループもあった。それぞれの地域で、神話を独自に発展させた。
5.アラビア半島からインドにいた人々のうち、時代は遅れて北上したグループがあった。彼らは4万年前ころに中央アジアステップ地帯や西ヨーロッパへ行った。東へ進んだグループもあった。彼らがもっていた神話が、ローラシア型神話である。
6.その後の民族の大移動や、文化の伝播により神話も伝播し、各地域にもともとあった神話と融合して、それぞれの地域独自の神話を形成していった。


実際にはもっと複雑な動きをしたに違いありませんが、おおまかな流れは、以上のように考えました。

このように考えますと、今までお話してきた、さまざまな疑問が説明できます。
たとえば、
1.なぜ遠く離れた地域で、似たような神話があるのか?。
オオゲツヒメの話(ハイヌウェレ型神話)・海幸彦・山幸彦神話(釣針喪失譚)は、アフリカやアメリカ大陸にありますし、コノハナサクヤヒメの話(バナナ型神話)もアフリカにあります。ここまで遠い地域に似たような神話があるのが、通説では説明できなかったわけですが、上の仮説によれば、何ら不思議はありません。

2.似たような神話のなかで、なぜ話の大事な部分に違いが生じるのか?
これもたびたび指摘してきました。たとえば、洪水神話のクライマックスは、”人間が洪水という懲罰を受け、生き残った人々が再生する。”というものですが、日本神話にはその部分がありません。なぜもっとも話の肝(キモ)である部分がないのか、という問題提起です。これももとのゴンドワナ型神話には素朴な洪水の概念があったが、伝播するにつれ懲罰的なものに発展していった地域があった。一方、日本では、そのような変化が起こらなかった、と考えれば、すんなりと説明できます。

3.「中央アジアステップ地帯→朝鮮半島→日本列島」の伝播時期(鉄器・青銅器の伝播時期、紀元前数世紀ころと推測)と、それよりはるかに古いとされる北アメリカへの伝播時期との時代の不整合をどう説明するか?
たとえば、”ギリシア神話のオルペウスや日本神話のイザナギが、亡き妻を上界から連れ戻すため冥府を訪問したが、冥府で課せられた禁令に違反したため失敗に終わった。”という話と類似の話が、北アメリカの原住民の伝承に見出されてます(吉田同書P142)。吉田氏はこの理由について触れてません。

吉田氏は、この神話は、中央アジアステップ地帯の遊牧民(スキュタイ)の媒介により、ギリシアから日本列島に伝播したとしてます(吉田同書P153)。スキュタイ人が登場するのは紀元前9世紀ころですから、東アジアに伝播したのはそれ以降となります。

一方その時期はもっと古く、青銅器の東方伝播とともに伝わったとする説もあります。
中央アジアステップ地帯の青銅器は、「セイマ・トルビノ青銅器文化圏」のアンドロノヴォ文化において紀元前2000年ころからです。それが東へ伝播し朝鮮半島に伝わったのは、銅剣が紀元前1000年ころ、銅矛が紀元前900年ころとしてます(「ユーラシア東部における青銅器文化」(小林青樹)より)。

いずれにしろ
現生人類が東アジアから北アメリカに渡ったのは2万年~5千年前とされており、時代が整合しないことは、これまでにも指摘しました。

これも、2万年~5千年前に北アメリカに渡った人々がいて、彼らがこの神話の祖型となる神話をもっていたとすれば、理解できますね。
もしかしたら
2万年前に渡った人々がもっていた神話がゴンドワナ型神話であり、5千年まえに渡った人々がもっていた神話がローラシア型神話かもしれません。
(もちろん新しい時代に東アジアから北アメリカに渡った人々がいて、彼らが神話を伝えた可能性もあります。)。

以上をもとに図にしたのが、次の図です。あくまでイメージであり、詳細についてはいろいろあろうかと思いますが、全体の流れをつかむことはできると思います。

 ゴンドワナ型神話伝播ルート  
ローラシア型神話伝播ルート
  


↓ 新著です。よろしくお願い申し上げます!!




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プロフィール

青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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