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古事記・日本書紀のなかの史実 (10)~国生み神話

前回は神代七代で、最後に登場したのが、イザナギ・イザナミの二神でした。
今回はその続きで、次々と国を生んでいく「国生み神話」です。

古事記のあらすじです。

伊邪那岐(イザナギ)、伊邪那美(イザナミ)の二神は、漂っていた大地を完成させるよう、別天津神(ことあまつがみ)たちに命じられる。別天津神たちは天沼矛(あめのぬぼこ)を二神に与えた。伊邪那岐、伊邪那美は天浮橋(あめのうきはし)に立ち、天沼矛で渾沌とした地上を掻き混ぜる。このとき、矛から滴り落ちたものが積もって淤能碁呂島(おのごろじま)となった。
二神は淤能碁呂島に降り、結婚する。まず淤能碁呂島に「天の御柱(みはしら)」と「八尋殿(やひろどの、広大な殿舎)」を建てた。”(Wikipediaより)


広く知られている箇所です。
イザナギ・イザナミが、天沼矛(あめのぬぼこ)で地上をかきまぜて、滴り落ちたものからできた島が、オノロゴ島です。
注目は、天沼矛です。

古代の矛といえば、弥生時代の祭祀に使われました。近年では、島根県の荒神谷遺跡から銅剣358本・銅鐸6個とともに銅矛16本が出土して、日本中を驚かせました。

その銅矛ですが、分布が北部九州を中心としており、畿内から東には、1本も出土していません。

一方、銅矛圏のほかに、畿内を中心とした銅鐸圏、瀬戸内海を中心とした銅剣圏があります。銅剣は三種の神器など神話に出てきますが、銅鐸は一つも登場しません。
ということは、この神話は畿内の神話ではなく、北部九州を中心とした銅矛圏の神話であることが、わかります。
弥生時代青銅器分布


次に、淤能碁呂島(おのごろじま)です。オノロゴ島が、どこの島を指しているのか、昔から多くの議論がありました。

”神話の架空の島とする説と実在するという説とある。
伝承が残る地域は近畿地方が中心で、平安前期の古代諸氏族の系譜書である『新撰姓氏録』では、オノゴロ島は沖ノ島など友ヶ島の島々と一説がある
同じく平安前期に書かれた『新撰亀相記』と鎌倉後期成立の『釈日本紀』では、オノゴロ島の説明に沼島を当てており、近世以降のほとんどはこの沼島説が定説となっていた。”(Wikipediaより)


さらにいくつか挙げられてますが、いずれにしろ淡路島周辺の小島であっただろうと考えられているようです。
他にも
十神山(島根県安来市)
筑波山、播磨灘の家島、鳴門海峡の飛島

なども挙げられてます。

しかしこれらの説には、根本的な疑問があります。
イザナギ・イザナミがまず初めに降りたったところですから、普通は、自分たちの聖地とでもいうべき場所ではないでしょうか?。

つまり上の銅矛圏の圏内、しかもそのなかの中心地に近いところとするのが、自然です。

上図の著者である寺沢薫氏は、銅矛祭祀について、
”銅矛形祭器がいかに早く、北部九州圏での至上の青銅器の座を獲得し、北部九州「ナショナリズム」を主張するような排他的な祭器として確立されていっかがわかる。”(「王権誕生」(寺沢薫)P102)
と述べてます。


そうなると、オノロゴ島は北部九州にあった可能性が高いと考えられます。
では具体的な場所はあるのでしょうか?。

あります。
博多湾の中央に浮かぶ「能古(のこの)島」です。

縄文時代の石斧・石器や弥生時代の土器も発見されているなど、古くから人々が住んでいたことがわかってます。山頂近くの巨石をご神体とする白髭神社はじめ、古墳など古い遺跡があります。

能古島位置

能古島全景


皆さんは、「のこのしま」という音が、「オノロゴ島」に似ているのに気づかれたと思います。

「オノロゴ島」について、古田武彦氏は、
「オ」は地名接頭語、「ロ」は地名接尾語であり、固有の地名部分は、「ノコノ」島である、と延べてます。

つまり「オノロゴ島」=「能古島」というわけです。

また郷土史家であった高田氏によると、「白髭神社本縁起」(享保二十年、稲留希賢)のなかに、「日本書紀」の国生みの一節が引かれ、「能古島=オノロゴ島」説がひそかに暗示されているとのことです。(「記紀の秘密」(古田武彦)P387より)

以上のようにみてくると、「オノロゴ島」=「能古島」説の可能性は高いと考えます。その他の候補地も周辺にあるのですが、いずれにしろ北部九州とするのが順当でしょう。

もちろん反論もあるでしょうが、すべてを検証することは膨大になってしまうので、今回はここまでとします。

↓ 新著です。よろしくお願い申し上げます!!




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テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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