古事記・日本書紀のなかの史実 (18)~神生み③ オオヤマツミ
前回は、イザナギ・イザナミの生んだハヤアキツヒコ・ハヤアキツヒメとそのまた子の話でした。
今回は、またイザナギ・イザナミの生んだ子の話に戻ります。
志那都比古神(シナツヒコノカミ)
久久能智神(ククノチノカミ)
大山津見神(オオヤマツミノカミ)
鹿屋野比売神(カヤノヒメノカミ)
の四神で、人間生活に関係の深い風・木・山・野の神とされてます。
このなかで、オオヤマツミに注目です。
日本書紀では、異なった系譜を伝えてます。
日本書紀一書(第六)では、
イザナギ・イザナミが生んだ神として、
級長戸辺命(シナトベノミコト)。別名級長津彦命(シナツヒコノミコト) 風の神
倉稲魂命(ウカノミタマノミコト)
少童命(ワタツミノミコト) 海の海
山祇(ヤマツミ) 山の神
速秋津日命(ハヤアキツヒノミコト) 海峡の神
句句廼馳(ククノチ) 木の神
埴安神(ハニヤスノカミ) 土の神
軻遇突智(カグツチ) 火の神
を挙げてます。
シナツヒコ、ククノチは共通してますが、カヤノヒメはなく、代わりにウカノミタマ・ワタツミ・ハヤアキツヒ・ハニヤス・カグツチが入ってます。
日本書紀一書(第七・第八)では、
イザナギがカグツチを斬って生まれた、とされてます。
その後、オオヤマツミの子の話が何度か出てきます。
”オオヤマツミ自身についての記述はあまりなく、オオヤマツミの子と名乗る神が何度か登場する。 八俣遠呂智退治において、須佐之男(スサノオ)命の妻となる櫛名田比売(クシナダヒメ)の父母、足名椎・手名椎(アシナヅチ・テナヅチ)はオオヤマツミの子と名乗っている。
その後、スサノオの系譜において、オホヤマツミ神の娘である神大市比売神(カムオホイチヒメ)との間に大年神と宇迦之御魂神(ウカノミタマ)をもうけていると記している。
また、クシナダヒメとの間の子、八島士奴美神(ヤシマジヌミ)は、オオヤマツミの娘の木花知流比売(コノハナチルヒメ)と結婚し、布波能母遅久奴須奴神(フハノモヂクヌスヌ)を生んでいる。フハノモヂクヌスヌの子孫が大国主神である。
天孫降臨の後、邇邇芸命(ニニギノミコト)はオオヤマツミの娘である木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)と出逢い、オオヤマツミはコノハナノサクヤビメとその姉の石長比売(イワナガヒメ)を差し出した。ニニギが容姿が醜いイワナガヒメだけを送り返すと、オオヤマツミはそれを怒り、「イワナガヒメを添えたのは、天孫が岩のように永遠でいられるようにと誓約を立てたからで、イワナガヒメを送り返したことで天孫の寿命は短くなるだろう」と告げた。”(Wikipediaより)
以上のように、オオヤマツミの名前は、ポイントとなる場面で度々登場します。
ごちゃごちゃしてきたので、系譜で整理します。


(1)の図からわかるとおり、オオヤマツミの孫のクシナダヒメはスサノオと結婚して、ヤシマジヌミを生みますが、この神はオオヤマツミの娘コノハナチルヒメと結婚します。つまりオオヤマツミの娘とひ孫と結婚するという、ちぐはぐな系譜です。
ヤシマジヌミの5世孫が、出雲神話の主役オオクニヌシです。
(2)の図では、スサノオはオオヤマツより上の代の神で、(1)とは逆になります。異なる世代となっているは、神話の世界の神だからなのか、あるいは同名(襲名)の神だからなのかは、何ともいえないところです。
またアマテラス・タカムスビ・ニニギ・ホオリ(山幸彦)・カムヤマトイワレビコ(神武天皇)・オオワタツミという、神話時代のほとんどの重要な登場人物・神とつながっていることがわかります。
古事記では、オオヤマツミとカヤノヒメは、次の八神を生みます。
天之狭土神(アメノサヅチノカミ)
国之狭土神(クニノサヅチノカミ)
天之狭霧神(アメノサギリノカミ)
国之狭霧神(クニノサギリノカミ)
天之闇戸神(アメノクラドノカミ)
国之闇戸神(クニノクラドノカミ)
大戸惑子神(オホトマトヒコノカミ)
大戸惑女神(オホトマトヒメノカミ)
このうち、クニノサヅチですが、神代七代において、日本書紀本文・一書(第一・第二・第四) に、クニノトコタチの次に生まれた神として登場します。同じ神ということであれば、伝承が混雑していることになります。
また、アメノサギリの娘の遠津待根神(トホツマチネノカミ)は、大国主神(オオクニヌシ)の8世孫の天日腹大科度美神(アメノヒバラオホトシナドミノカミ)との間に遠津山岬多良斯神(トホツヤマサキタラシノカミ)を産んでます。

(3)は(1)・(2)とも関連しない系譜ですが、ここでもオオクニヌシともつながってますね。ここでは年代からいってオオヤマツミはオオクニヌシより新しい年代の神で、(1)と逆転してます。
以上のとおり、オオヤマツミは系譜からみてたいへん重要な神であり、謎も多いことがわかります。
↓ 新著です。よろしくお願い申し上げます!!
今回は、またイザナギ・イザナミの生んだ子の話に戻ります。
志那都比古神(シナツヒコノカミ)
久久能智神(ククノチノカミ)
大山津見神(オオヤマツミノカミ)
鹿屋野比売神(カヤノヒメノカミ)
の四神で、人間生活に関係の深い風・木・山・野の神とされてます。
このなかで、オオヤマツミに注目です。
日本書紀では、異なった系譜を伝えてます。
日本書紀一書(第六)では、
イザナギ・イザナミが生んだ神として、
級長戸辺命(シナトベノミコト)。別名級長津彦命(シナツヒコノミコト) 風の神
倉稲魂命(ウカノミタマノミコト)
少童命(ワタツミノミコト) 海の海
山祇(ヤマツミ) 山の神
速秋津日命(ハヤアキツヒノミコト) 海峡の神
句句廼馳(ククノチ) 木の神
埴安神(ハニヤスノカミ) 土の神
軻遇突智(カグツチ) 火の神
を挙げてます。
シナツヒコ、ククノチは共通してますが、カヤノヒメはなく、代わりにウカノミタマ・ワタツミ・ハヤアキツヒ・ハニヤス・カグツチが入ってます。
日本書紀一書(第七・第八)では、
イザナギがカグツチを斬って生まれた、とされてます。
その後、オオヤマツミの子の話が何度か出てきます。
”オオヤマツミ自身についての記述はあまりなく、オオヤマツミの子と名乗る神が何度か登場する。 八俣遠呂智退治において、須佐之男(スサノオ)命の妻となる櫛名田比売(クシナダヒメ)の父母、足名椎・手名椎(アシナヅチ・テナヅチ)はオオヤマツミの子と名乗っている。
その後、スサノオの系譜において、オホヤマツミ神の娘である神大市比売神(カムオホイチヒメ)との間に大年神と宇迦之御魂神(ウカノミタマ)をもうけていると記している。
また、クシナダヒメとの間の子、八島士奴美神(ヤシマジヌミ)は、オオヤマツミの娘の木花知流比売(コノハナチルヒメ)と結婚し、布波能母遅久奴須奴神(フハノモヂクヌスヌ)を生んでいる。フハノモヂクヌスヌの子孫が大国主神である。
天孫降臨の後、邇邇芸命(ニニギノミコト)はオオヤマツミの娘である木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)と出逢い、オオヤマツミはコノハナノサクヤビメとその姉の石長比売(イワナガヒメ)を差し出した。ニニギが容姿が醜いイワナガヒメだけを送り返すと、オオヤマツミはそれを怒り、「イワナガヒメを添えたのは、天孫が岩のように永遠でいられるようにと誓約を立てたからで、イワナガヒメを送り返したことで天孫の寿命は短くなるだろう」と告げた。”(Wikipediaより)
以上のように、オオヤマツミの名前は、ポイントとなる場面で度々登場します。
ごちゃごちゃしてきたので、系譜で整理します。


(1)の図からわかるとおり、オオヤマツミの孫のクシナダヒメはスサノオと結婚して、ヤシマジヌミを生みますが、この神はオオヤマツミの娘コノハナチルヒメと結婚します。つまりオオヤマツミの娘とひ孫と結婚するという、ちぐはぐな系譜です。
ヤシマジヌミの5世孫が、出雲神話の主役オオクニヌシです。
(2)の図では、スサノオはオオヤマツより上の代の神で、(1)とは逆になります。異なる世代となっているは、神話の世界の神だからなのか、あるいは同名(襲名)の神だからなのかは、何ともいえないところです。
またアマテラス・タカムスビ・ニニギ・ホオリ(山幸彦)・カムヤマトイワレビコ(神武天皇)・オオワタツミという、神話時代のほとんどの重要な登場人物・神とつながっていることがわかります。
古事記では、オオヤマツミとカヤノヒメは、次の八神を生みます。
天之狭土神(アメノサヅチノカミ)
国之狭土神(クニノサヅチノカミ)
天之狭霧神(アメノサギリノカミ)
国之狭霧神(クニノサギリノカミ)
天之闇戸神(アメノクラドノカミ)
国之闇戸神(クニノクラドノカミ)
大戸惑子神(オホトマトヒコノカミ)
大戸惑女神(オホトマトヒメノカミ)
このうち、クニノサヅチですが、神代七代において、日本書紀本文・一書(第一・第二・第四) に、クニノトコタチの次に生まれた神として登場します。同じ神ということであれば、伝承が混雑していることになります。
また、アメノサギリの娘の遠津待根神(トホツマチネノカミ)は、大国主神(オオクニヌシ)の8世孫の天日腹大科度美神(アメノヒバラオホトシナドミノカミ)との間に遠津山岬多良斯神(トホツヤマサキタラシノカミ)を産んでます。

(3)は(1)・(2)とも関連しない系譜ですが、ここでもオオクニヌシともつながってますね。ここでは年代からいってオオヤマツミはオオクニヌシより新しい年代の神で、(1)と逆転してます。
以上のとおり、オオヤマツミは系譜からみてたいへん重要な神であり、謎も多いことがわかります。
↓ 新著です。よろしくお願い申し上げます!!
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