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古事記・日本書紀のなかの史実 (22)~神生み⑦ イザナミの死

イザナギ・イザナミによる神生みの話は、トヨウケビメまできました。

イザナミは、火の神カグツチ(ヒノヤギハヤヲ)を生んだことにより、亡くなってしまいます。つまり、黄泉の国へと行ってしまったということです。

以上までで、イザナギ・イザナミが生んだ島は14島、神は35神、とあります。

ここで島の14島は合ってますが、神の35神については、記載されている神の数は40神で合ってません。

これは、同名の男女待遇の神、
ハヤアキツヒコ・ハヤアキツヒメ
オホトマトヒコ・オホトマトヒメ
カナヤマビコ・カナヤマビメ
ハニヤスヒコ・ハニヤスビメ

の4対を各1神に数え、イザナミの子でないトヨウケビメを除くと、35神となり数が合います。

さて、イザナミが死んでしまったことでイザナギは、嘆き悲しみ、大声をあげて泣き、涙を流します。その涙から生まれた神が、泣澤女(ナキサワメ)神です。

しかしながらもはや亡くなったイザナミを蘇らせることはできず、その亡骸を出雲の国と伯伎(ほうき)の国の境の比婆(ひば)の山に埋葬します。

比婆の山の場所ですが、諸説あります。

”イザナミの墓所の伝承地は、日本神話に記される比婆山や熊野市有馬のほか、出雲伯国境を中心として日本各地にある。宮内省は八雲村(現在の松江市)の神納山を比定地の中で最も有力として「陵墓参考地」に認定し、内務省は船通山の北にある御墓山を「伊弉冉尊御陵流伝地」に指定していた。

しかし、近世以降、古事記解読に初めて成功した本居宣長の古事記伝の話と、鉄製品を作る最良の砂鉄の産地は雲伯国境地帯であることから、島根県安来市伯太町のもの(比婆山久米神社)が支持されていた歴史があり、江戸時代、母里藩の古地図にも峯山大権現と記されているのが確認されている。
さらには当地に伝承されてきた、たたら製鉄でつくり出される玉鋼は日本人の魂の象徴とされる日本刀の創始(安綱)ともかかわりが深く、最近では安本美典がこれら諸説を文献学的に比較し、島根/鳥取県境に最も近い安来市伯太町の比婆山を比定している。

比婆山(ひばやま)は、島根県安来市にある標高約331 mの山であり、山上の奥宮(比婆山久米神社)には国生み母神イザナミノミコトの御神陵と伝えられる古い塚が存在する。山全体を神域とし、麓に里宮があり、里宮から山頂の奥宮まで参道が続く。”(Wikipedia「比婆山」より)

以上のとおり、島根県安来市の比婆山が有力視されています。古事記にあるとおり、出雲の国と
伯伎の国の境にありますし、順当なところでしょう。

比婆山位置

比婆山・比婆山久米神社




さて、イザナミギは、腰に帯びた十拳剣(とつかのつるぎ)で、カグツチの首を斬ってしまいます。これはカグツチすなわちヒノヤギハヤヲが生まれたことが原因でイザナミが死んでしまったから、悲しみのあまりまたは憎悪のせいでしょうか? あるいは不浄の子ということだったのでしょうか?

いずれにしろカグツチにしてみれば、自分を生んだのはイザナミであり、自分自身は何も悪いことをしてないのに斬られてしまうわけで、気の毒のような気もします。

それはさておき、カグツチを斬り殺した十拳剣剣に付着した血からまた神々が生まれます。

a.十拳剣の先端からの血が岩石に落ちて生成された神々
・石拆神(イハサクノカミ)
・根拆神(ネサクノカミ)
・石筒之男神(イハツツノヲノカミ)


b.十拳剣の刀身の根本からの血が岩石に落ちて生成された神々
・甕速日神(ミカハヤヒノカミ)
・樋速日神(ヒハヤヒノカミ)
・建御雷之男神(タケミカヅチノヲノカミ)


c.十拳剣の柄からの血より生成された神々である。
・闇淤加美神(クラオカミノカミ)
・闇御津羽神(クラミツハノカミ)

タケミカヅチは雷の神かつ剣の神とされてますが、のちに重要な場面で登場します。

ひとつが国譲りにおいてアマテラスから出雲に派遣され、オオクニヌシに直談判する場面です。

もうひとつは神武東征において、タケミカヅチの剣が熊野で手こずっていた神武天皇を助ける場面です。その剣は布都御魂(ふつのみたま)と呼ばれ、奈良県天理市にある石上神宮のご神体となってます。

また、鹿島神宮、春日大社および全国の鹿島神社・春日神社で祀られてます。

↓ 新著です。よろしくお願い申し上げます!!




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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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