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古事記・日本書紀のなかの史実 (40)~神生み㉕ 出雲・新羅・筑紫と「天国」

前回までで、「天国(あまぐに)」が、対馬・壱岐を中心とした領域であり、スサノオはその「天国」から新羅に渡り、そこから出雲にやってきたのではないか、という話をしてきました。

ところで皆さんのなかには、こういう疑問をもつ方がおられるでしょう。

「古事記・日本書紀の記載からみれば、そのように読めるかもしれないが、実際に古代人がそのような活動をしていたのだろうか?」

たしかに、現代のように性能のいい船があれば容易かもしれませんが、そのような船がない時代では、簡単ではなかったはずです。だから、上の推測は無理筋ではないかと考えるのも、当然です。

この説を科学的データからみてみましょう。

1998年から発掘されている鳥取県鳥取市青谷町の「青谷上寺地(あおやかみじち)遺跡」で調査報告があり、古代史界に衝撃を与えました。

まずは、「青谷上寺地遺跡」の概要です。

”遺跡は弥生時代前期後半に集落としての姿を現し、中期後半に著しい拡大を遂げ後期に続くが、古墳時代前期初頭に突如として姿を消す
遺物は膨大な数の土器以外に、鉄器・青銅器・木器・石器・骨角器など多彩で、後述の遺物も合わせ弥生時代の情報量の多さは特筆される。

遺跡の東側の溝では弥生時代後期の100人分を超える約5,300点の人骨が見つかったが、うち110点に殺傷痕が見られた。また2点に脊椎カリエスによる病変が確認された。これは日本における最古の結核症例である。
日本で初めて弥生人の脳が3人分発見された
120センチメートルほどのモミ製の盾から緑色顔料(緑土)が確認された。これは東アジア最古の緑土の使用例である。”(Wikipedia「青谷上寺地遺跡」より)

多くの人骨が見つかり、殺傷痕が見られたことも大きな特徴ですが、なんといっても注目は、弥生人のDNAが数多く分析されたことです。そのうちミトコンドリア遺伝子による分析すなわち女系の遺伝子の大半は、中国大陸・朝鮮半島由来、しかも北方から南方まで広範にわたることが判明しました。

詳細は膨大になるのでのちほどということにしますが、とにもかくにも中国大陸・朝鮮半島との広範にわたる交流が、文化的のみならず人的にもあったことが確認されました。

国内では北部九州・北陸・中国南部・四国・近畿地方との交流があったことがわかってます。


青谷上寺地遺跡交流

スサノオの本拠は出雲すなわち島根県ですが、隣の鳥取県でかような広域の交流があったということは、出雲も同様の、あるいはそれ以上の交流があったと考えて、差支えないでしょう。

新羅は朝鮮半島の東南部に勢力をもっていましたが、当然のことながら出雲は新羅と交流があったとみていいでしょう。

そしてこの交流の中心拠点が、北部九州であったということに注目です。

このことは、冒頭で提起した、
”「天国」が、対馬・壱岐を中心とした領域であり、スサノオはその「天国」から新羅に渡り、そこから出雲にやってきたのではないか”
という仮説と整合がとれていることがわかります。

↓ 新著です。よろしくお願い申し上げます!!



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プロフィール

青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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