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古事記・日本書紀のなかの史実 (64) ~オオクニヌシとスサノオの関係

今回は、いよいよオオクニヌシの登場です。

出雲の「国引き神話」の神であるオミズヌとフテミミとの間にできた子がアメノフユキヌです。
アメノフユキヌとサシクニワカヒメとの間の子がオオクニヌシです。「オホナムチ」「アシハラシコヲ」「ヤチホコ」「ウツシクニダマ」という5つの亦の名をもっています。つまりオオクニヌシは、スサノオの六世孫ということになります。

スサノオ系譜

ここで大きな謎があります。
古事記ののちの話では、オオクニヌシはスサノオの娘のスセリヒメと結婚します。つまりオオクニヌシはスサノオの娘婿になります。
別段ではタキリヒメと結婚しますが、タキリヒメはアマテラスとスサノオの誓約でできた子です。こちらもオオクニヌシはスサノオの娘婿です。

また日本書記の本文では、スサノオとクシナダヒメとの間の子がオオクニヌシとなっています。一書の第一と第二では、スサノオの六世孫となってます。

系譜に大きな違いがあるのです。

表で整理します。
スサノオとオオクニヌシの関係


違いとしては、大きく分けて二つあります。
1.オオクニヌシが、スサノオの直系(子あるいは六世孫)か娘婿か?
2.オオクニヌシの年代が、
スサノオの子の世代か六世孫の世代か?

これはどうしたことでしょうか?
「昔の人がいい加減に創作した話だからどうでもいいことだ」といってしまえばそれまでです。
しかしながらそれで片付けられるほど、単純ではありません。
2の”オオクニヌシがスサノオの子の世代なのか、あるいは遠く六代下った世代なのかに分かれてる”についてみてみましょう。
このあたりを深く考察した古田武彦氏の説からです。

”天孫降臨のとき、「天国」のアマテラスは「出雲の」のオオクニヌシ「国譲り」を交渉している。同時期の神でなかったら交渉できない。
その上、”オオクニヌシが「アマテラス・スサノオ」の子、タキリヒメを妻としていた"点からすれば、アマテラスの「国譲り」の交渉も、よく理解できよう。

またスサノオとオオクニヌシとの間の関係を語る多くの『古事記・日本書紀』神話も、両者が同時代であり、かつ、スサノオの方が年長者でさまをよく示している。
すなわちB表は神話内容と完全に一致しているのである。”

B表とは下の系譜とほぼ同じです。たしかにアマテラスとオオクニヌシ、タキリヒメが同時代であることがわかります。
また古事記において、
”兄弟たちから命を狙われたオオアナムチ(オオクニヌシ)は、根の堅州国に出かけ、そこでスサノオの娘、スセリビメと出逢って結婚する。
その後、スサノオからいくつかの試練を与えられたオオアナムチは、スセリビメの助力を得てそれらの試練を乗り越え、最後にスセリビメを連れ、根の堅州国から逃げ出す。”

というまことに面白いストーリーが展開されます。
この話からも、サノオとオオクニヌシは同時代であることがわかりますね。

スサノオ~オオクニヌシ系譜2

以上から、オオクニヌシはスサノオの子の世代とするのが順当だとわかりました。
では1の、オオクニヌシはスサノオの子(直系)なのか、娘婿なのか、はどうでしょうか?

これは出雲国風土記をみればはっきりします。出雲国風土記では、オオクニヌシは「天の下をお造りなされた」大神オホアナムジと記載されてます。その一方、スサノオとの関係については、一切記載されていません。

出雲国風土記では、スサノオの子を記載していますので、もしオオクニヌシがスサノオの子であれば、必ずその旨を記載するはずです。それが記載されていないということは、スサノオの子ではなかった、と考えるのが自然です。




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プロフィール

青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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