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古事記・日本書紀のなかの史実 (87) ~ シラヒ神とヒジリ神とは?

 オオトシの生んだ五神の四番目からです。

”第四は「白日(シラヒ)神」。これは明白だ。筑紫の「亦の名」は「白日別」であり、須玖遺跡の近くに「白木原」(シラキバル)がある。(「原」は例の「バル」。「木」は「城(き)の意味)。だから、この地名の固有名詞部分は「白(しろ)」だ。「白日神」の場合も、当然、「固有名詞「白」に対して「日」が加えられたものだ。「
橿日宮(かしひぐう)」のように。
すなわち、この「白日神」とは、”筑紫全体の神”ではなく、この「白木原」の地点を中心とした、狭域の神名だ。これを”筑紫全体”とすると、第三と第五の神名とダブってしまう。”
(以上「盗まれた神話」(古田武彦)P 396-397より)

筑紫の「亦の名」は、国生みの段でてきました。

”イザナギ・イザナミが生んだ大八島国の第四の島、筑紫島は、身一つに面が四つあり、その四つのうち、筑紫国を白日別(シラヒワケ)といい、豊国を豊日別(トヨヒワケ)といい、肥国を建日向日豊久士比泥別(タケヒムカヒトヨクジヒネワケ)といい、熊曾国を建日別(タケヒワケ)という。”

白日(シラヒ)と白日別(シラヒワケ)が酷似してますから、この地域に関連している神とみていいでしょう。須玖(すく)遺跡は、三種の神器である玉・剣・鏡が出土したことで知られる弥生時代中期から後半の遺跡です。
北側には、弥生時代日本最大級の遺跡である比恵・那珂遺跡があります。この一帯が邪馬台国の中心拠点だったのではないかと考えていることは、これまでにお話してきました。
シラヒ神は、彼らの系統が信仰した神と推測されます。


”第五は「聖(ヒジリ)神」。この神名に対し、「日知りの神の意」で、暦日を掌る神か」(岩波、日本古典文学大系本、註)という解釈がある。しかし、これは従いがたい。なぜなら、第一から第四まですべて地名の上に成り立っている。それなのに、これだけ、地名と無関係の名と見るのは無理だ。
これは「日後(ひじり)」ではあるまいか。第四の「白日神」をうけて、その”背後の地”を呼ぶ名称だ。ちょうど、筑前が「筑紫」とされるのに対し、筑後が「筑紫後国(しりへのくに)」と呼ばれていたように。
「白木原」に近い須玖遺跡の近くに「井尻(イジリ)」の地名がある。「ーーシリ」という地名接尾辞の用いられている例だ。だから、この「聖神」の名は、今の「白木原」より南の地帯(大宰府から久留米市あたりにかけての地帯の中の一定領域)に当るのではあるまいか。”(以上「盗まれた神話」(古田武彦)P 397-398より)

最後が聖(ヒジリ)神です。これがたいへんわかりにくい神名です。古田氏は、オオクニミタマからシラヒまですべて地名で成り立っているので、ヒジリも同じように考えるべきとして「日後(ヒジリ)ではないか、と推測しています。

古田氏は、大宰府から久留米市当たりを信仰圏としていますが、大宰府と白木原は近傍で、同じ文化圏とみていいでしょう。
「聖(ヒジリ)=日後(ヒジリ)」とするなら、筑後が「筑紫後国(しりへのくに)」と呼ばれていたことからも、もう少し南側で、筑紫平野にかけての地域ではないでしょうか? そのあたり一帯には弥生時代遺跡が多数あり、有名な吉野ケ里遺跡も近いですね。

ソホリ・シラヒ・ヒジリ神信仰圏

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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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