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日本語系統論(6)~太平洋沿岸言語圏と環日本海諸語

ここまで、「言語類型地理論」による
a.流音のタイプ
b.形容詞のタイプ 
c.名詞の数と類別
  
をみてきました。

これによれば、ユーラシア大陸に限れば、言語の特徴の分布は大きく分けて
A.ユーラシア内陸部
B.太平洋沿岸部

の二つに分けられます。

言語の特徴として、
A.ユーラシア内陸部
 複式流音、体言型形容詞、名詞の義務的な数カテゴリー、名詞類別 
B.太平洋沿岸部
 単式流音、用言型形容詞、名詞の数カテゴリーの欠如、数詞類別
が挙げられます。

他の地域へのつながりについては、
A.ユーラシア内陸部
 アフリカ大陸とつながって、アフロ・ユーラシア的な拡がり
B.太平洋沿岸部
 ベーリング海峡を越えてアメリカ大陸とつながり、環太平洋的な拡がり
となります。

そして、Bにおいてアメリカ大陸につながっていることについて、
”アメリカ先住民言語の担い手(の少なくとも一部)が、ユーラシア大陸からもたらされた言語遺産の一部。
今から1万年以上前の最終氷期、アメリカ大陸がベーリンジア陸橋によってアジアと完全に地続きとなっていた考古学上「後期旧石器時代」と呼ばれる時期(約35,000~10,000年前)まで遡ると見なければならない。”(P123)

と述べています。

アメリカ先住民が、ユーラシア大陸から渡った人々を祖先としていることは、周知の事実です。その時期については諸説ありますが、1万年以上前であったことは確実です。彼らの言語が、アメリカ先住民の言語の元のなっているのも間違いないでしょう。

さらに太平洋沿岸言語圏は、南方群北方群の二つに分けられます。
南方 大語族、ミャオ・ヤオ、タイ・ガダイ、オーストロアジア、オーストロネシア語族、
     中国語とチベット・ビルマ語族のほぼ東のグループ

     ・大部分がSVO型語順と前置詞を持つ
     ・形態法は孤立型
     ・接辞法は接頭語がはるかに優勢
北方 系統不明の孤立的な言語または小言語群、日本語含む
     ・SOV型語順と後置詞を持つ、
     ・形態法は膠着型
    ・・接辞法は接尾語の使用が圧倒的に優勢

語族分布:ユーラシア他

いくつか解説します。
・SVO型語順とは、
主語 + 動詞 + 目的語

・SOV型語順
とは、
主語 + 目的語 + 動詞
です。

日本語では、
・この花は美しい(
主語 + 目的語 + 動詞 )
が、英語では、
・This flower is beautiful.(
主語 + 動詞 + 目的語
となりますよね。

これが南方群と北方群で、明確に分かれるというのです。

また孤立型・膠着型ですが、
言語の種類を分けるときに、以下の4つに分類することがあります。

・膠着語(agglutinating language)
・孤立語(isolating language)
・屈折語(inflecting language)
・抱合語(incorporating language)

膠着語は、助詞や接辞などの機能語が、名詞・動詞などの自立語にひっついて、文が構成される言語のことです。
日本語も膠着語に属する言語です。例えば日本語は以下のような文があります。

大学いっ
赤字の「は」「に」や「た」は、それ自体では実質的な意味を持たない、機能語です。

こういった機能語が、「私」「大学」などの名詞や「行く」などの動詞などの自立語にひっついて文が構成されているのが膠着語です。
日本語以外にもモンゴル語、韓国語、トルコ語などがこの膠着語に入ります。

孤立語は「孤立」という言葉にあるとおり、それぞれの単語が意味を持っています。
例えば、中国語で「私はあなたを愛している」は「我愛你」です。

我愛你
このとき「我」「愛」「你」のすべてがそれぞれ意味を持つ自立語です。
膠着語のように助詞などがつくということはありません。

屈折語の例としてはラテン系の言語(フランス語・イタリア語など)、ギリシャ語、アラビア語などがあげられます。
英語も屈折語に入れられることが多いです。単語の形が文の中で変形することで文法的機能を表す言語です。

抱合(ほうごう)語というのは、名詞・副詞・動詞などの文の要素を組み合わせて、1つの語を作ることができる言語のことです。
抱合語の例としてよく挙げられるのがアイヌ語やエスキモー語です。(以上はHP:旅する応用言語学 「膠着語・孤立語・屈折語・抱合語について」より)

そして北方群について、
”日本海を囲んで連環のような分布を見せる朝鮮語、日本語、アイヌ語、ギリヤーク語「環日本海諸語」と呼ぼう。
この言語群は、年代的に極めて奥の深いところでつながる可能性が高い。その年代は、もちろん日本の縄文時代以前、日本列島がまだ大陸の一部をなして、日本海があたかも内陸のような様相を呈していた後期旧石器時代まで遡ると見てよいだろう。”(P123-126)

と述べています。

「環日本海諸語」はきわめて古い時代につながっていた、と述べています。その年代について、縄文時代以前、後期旧石器時代ころとしていますから、16000年以上前ということになります。つまり、その時代まで環日本海地域では同じ言語が話されていた。その特徴が現代日本語にも残っている。」ということになります。

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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。

拙著です!
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