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古事記・日本書紀のなかの史実Ⅱ (14) 天孫降臨③~ニニギとアメノホアカリ

 
さて、アメノオシホミミと、タカギの娘の万幡豊秋津師比売(ヨロヅハタトヨアキヅシヒメ)命との間の子がアメノホアカリニニギです。
それぞれの表記をみてみましょう。

アメノホアカリ
天照国照彦火明命(アマテルクニテルヒコホアカリノミコト)ー『日本書紀』
・天火明命(アメノホアカリノミコト)ー『古事記』
天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊(アマテルクニテルヒコアメノホアカリクシタマニギハヤヒノミコト)ー『先代旧事本紀』


ニニギ
・天津彦彦火瓊瓊杵尊(アマツヒコヒコホノニニギノミコト) - 『日本書紀』第九段本文、第一の一書、第二の一書
天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇藝命(アメニギシクニニギシアマツヒコヒコホノニニギノミコトみこと) - 『古事記』

この二神の読みの違いについて、古田氏が鋭い指摘をしています。

まずアメノホアカリですが、アマテルクニテルはアマテラスクニテラスと呼ぶべきとしたうえで、次のように述べています。

”この天火明命は祖母(アマテラス)の名前をストレートに継承している。それは疑いえない。いや、それ以上だ。なぜなら、「国照(クニテラスークニテル)」がプラスされているからだ。祖母以上の広範な、「天」と「国」との両域にまたがる支配権を象徴した名だともいえよう。
これに対し、ニニギノ命の方は、はるかに劣る。「天ニギシ国ニギシ」では、兄の天火明命の方が”正当的な”名前であるのに対し、”副次的な”印象を拭えない。そういう副次的な役割を帯びた「天津彦(アマツヒコ)」(天(アメ)の男)というのが、ニニギの名前だ。どう見ても主流ではない。それ故、天照(アマテラス)の直系は天火明(アメノホアカリ)命であって、瓊瓊杵(ニニギ)尊ではない。これが端的な結論だ。


本来の形には、当然このアメノホアカリの系譜、つまりその発展の系流の全体系もまた記されていた、と考えざるをえない。しかし、『日本書紀』では、その部分は一切カットされている。

『書紀』は「本流の系譜」の発展をカットした。その上、『古事記』は兄(天火明命)の尊称自体(天照国照)も、カットしてしまっているのである。

「造作」ではなく、「切断」である。”(同書P235-236より)

アマテラスの正当な後継者はアメノホアカリであり、その系統はカットされている、というのです。たしかに名称を見る限り、アメノホアカリの名称のほうがニニギに勝っているのは明白ですね。

天孫降臨系譜
以上の論証を補強するものがあります。前にお話した、アマテル系神社とアメノホアカリの関係性です。アマテラスというと、もともとの天皇家の信仰する神であったと考えがちですが、そうではありません。

”アマテラス大神の原型となる神の信仰がやがて王権のなかにとりいれられ、王権の祖神となっていくプロセスがあったにちがいない。”(「伊勢神宮」(千田稔)P5)

アマテラス大神の原型がアマテルであり、アマテル系神社の分布を以下のとおり図示しています。

アマテル系神社分布
”太陽神をまつることは認めてよく、さらにそれらのなかから一つのキーワードを指摘するとすれば「火明命」という神の名前であろう。”
”いま一つ私の興味を引くのは、対馬のアマテル神社だけが「阿麻氐留」と仮名表記をしている点である。”
”もし「アマテル」信仰が畿内あたりから伝搬して対馬に受け入れられたとしたら、対馬のアマテル神社は「天照神社」と漢字で表記されていた可能性も考えられるが、実はそうではなかった。「アマテル」という本来の音だけが今日まで伝えられたということは、「アマテル」系信仰の源流をこのあたりに求めうるという、一つの仮説を導くことができる。”(同書P 23より)

アマテル系神社の祭神に、火明(アメノホアカリ)命が多いことに注目です。千田氏が「アマテル」系信仰の源流と推測している対馬の
阿麻氐留神社の祭神もアメノホアカリです。一方、ニニギを祀っているアマテル系神社はありません。このことからも、アマテラスの直系はアメノホアカリであると考えるのが自然です。

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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。

拙著です!
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