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「邪馬台国」という国名は存在しなかった!?

これまで、日本古代史について、神話を中心にお話してきました。ここからは、本ブログの主たるテーマである「邪馬台国」について話を進めます。

「邪馬台国」という名前が初めて登場するのはいつでしょうか?

それは中国の昔の史書「三国志魏志倭人伝」のなかに登場します。

ところで、皆さんは「邪馬台国」という国名は、どこにも存在しない、ということをご存知でしょうか?
「ああ、その話ね。」と反応された方は、かなりの邪馬台国マニアとお見受けします。
「えっ、何を?」と思った方も多いでしょう。実は「三国志魏志倭人伝」には、「邪馬台国」という表記の国はありません。あるのは「邪馬壹国」という国です。
その後に書かれた「後漢書東夷伝」のなかに初めて「邪馬臺国」という国名が登場します。

魏志倭人伝2

魏志倭人伝
三国志 魏書 烏丸鮮卑 東夷伝倭人 の略称
・著者は西晋の陳寿
・280年から297年の間に書かれた。
・原本はなく紹興本(1131~1162年)と紹煕本(1195~1200年)が最古。
・いずれにも「邪馬壹国」と記載。

後漢書東夷伝
・編者は范曄
・432年成立
・原本はなく北宋時代(960~1127年)版本に基づく。
「邪馬臺国」と記載。

「なんだ、あるじゃないか。」と思われるでしょうが、それほど簡単な話ではありません。あるのは「邪馬国」であって「邪馬国」ではありません。

確かにかつては「邪馬臺国」=「邪馬台国」として、「邪馬壹国」は、「邪馬臺国」の書き誤り、とされて誰も疑問をもちませんでした。ところがそれに対して、古田武彦氏(元昭和薬科大学教授)が昭和46年に「邪馬台国はなかった」のなかで、初めて「「邪馬壹国」は「邪馬臺国」のあやまりではない。正しい表記である。」と発表し、衝撃を与えました。

古田氏の学問に対する基本的スタイルは、「昔の文献があった場合は、素直に読むべきであり、自分の考えに合わせるための安易な原文改定はすべきではない。」というものです。その後も古田氏は精力的に活動を継続し、多くの著作を発表してますが、学界からは無視され続けております。

私も古田氏の著作は多数読みましたが、氏の主張には合理性があると考えております。その検証は膨大になるので、これから少しずつお話しします。皆さんには、その際に是非を判断していただければと思います。

発表当初は全く受け入れられませんでしたが、少しずつ支持する人も増えてきており、たとえば豊田有恒氏(作家、元島根県立大学教授)が、「勝手に写本の記述を変更すべきでないとする古田氏の研究態度は評価するべきだろう。」と述べてます。(「歴史から消された邪馬台国の謎」2005年刊、P113)

さらに注目すべきは、2013年に中国人の学者、張莉氏(同志社女子大学准教授)が発表した論文です。張莉氏は、甲骨文・金文や説文解字を研究対象としていますが、中国文献からのみ検証した結果、「邪馬壹国」は、「邪馬臺国」の書き誤りではない、との結論にいたりました。そして「自分の説が、日本の定説ではないことに驚いている。」とも書いています。
(「倭」「倭人」について、立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所第七号抜刷、2013年7月発行より)
興味のある方は、こちらを参照ください。
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/sio/file/kiyou7/no07_03.pdf#search='%E5%BC%B5%E8%8E%89'

詳細な論証はこれからすこしずつしていきますが、ここでは「三国志魏志倭人伝には「邪馬台国」ではなく「邪馬壹国」と書かれている。」という事実があることを覚えておいてください。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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テーマ : 歴史
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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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