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邪馬台国位置比定の考古学的根拠とは(6) ?~ 三種の神器出土遺跡①(吉武高木遺跡)

さて、ここまで、鉄、鏡、勾玉、銅矛、絹の出土地を見てきました。いずれも、九州北部、博多湾岸に集中していることが確認できました。最後に、最も支配者のいたところを示すにふさわしいものと言えば、三種の神器(剣、鏡、玉)でしょう。

三種の神器は、天皇家の神宝として、儀式の際に使われていますね。ただし、一般人のなかで、実際に見たことのある人はいません。それほど、貴い物であるということでしょう。

さて、その三種の神器ですが、歴史上一番初めに登場するのは、「古事記」です。その中で、
天照大神(あまてらすおおみかみ)が、天孫降臨の際に、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)に「八尺の勾璁(やさかのまがたま)、鏡、また草薙(くさなぎの)剣」を神代として授けた”
と記されています。

天皇家に伝わる三種の神器が、それと同一の物というわけではないと言われていますが、いずれにせよ、当時の権力者が当然に持つ物とされていたからこそ、天照大神が授けたと言えます。

実は、三種の神器がセットで出土している遺跡は、わずかしかありません。
三種の神器出土地
No遺跡名所在
吉武高木福岡市西区
三雲南小路福岡県糸島市
井原福岡県糸島市
須玖岡本福岡県春日市
平原福岡県糸島市

三種の神器出土地



ご覧のとおり、すべて福岡県、それも福岡市、糸島市の、博多湾岸に近い場所です。何をもって三種の神器とみなすのかによっては、他にもあるという学者もいますが、大勢に影響はありません。
では、ひとつづつ見ていきましょう。

①吉武高木遺跡
相良平野の中央を流れる室見(むろみ)川中流に立地する旧石器から中世にわたる複合遺跡である「吉武遺跡群」の中心的遺跡です。「吉武遺跡群」には、「吉武高木遺跡」の他にも、「吉武大石遺跡」「吉武樋渡遺跡」があり、多数の副葬品が出土しています。これらの墓地の周辺には同時期の集落が広がり、「吉武高木遺跡」の東には、12m×9.6mの身舎に回廊をめぐらした掘立柱建物も発見され、「高殿」の可能性も指摘されています。
「吉武高木遺跡」からは、弥生時代前期末から中期初頭の甕棺墓(かめかんぼ)34基、木棺墓(もっかんぼ)4基等が、発見されてます。中心的墓と考えられる3号木棺墓からは、細形銅剣2口、細形銅矛1口、細形銅戈(どうか)1口、多鈕細文鏡1面、ヒスイ製勾玉、碧玉製管玉類が納められています。つまり、三種の神器が納められているということです。
三種の神器が出土している他の墳墓の中で最古と考えられています。その後は衰退し、三雲遺跡、須玖岡本遺跡墳墓など、さらに豪華な墳墓が出現しますが、当時としては、最も勢力を誇った王ではないかと推測されます。当然のことながら、中国、朝鮮半島の国々と、交流が深かったことでしょう。

<吉武高木遺跡3号木棺墓から出土した三種の神器>
吉武高木遺跡 
                                                                                                                                         (福岡市博物館HPより)


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青松光晴

Author:青松光晴
古代史研究家。理工系出身のビジネスマンとして一般企業に勤務する傍ら、古代史に関する情報を多方面から収集、独自の科学的アプローチにて、古代史の謎を解明中。特技は中国拳法。その他、現在はまっている趣味は、ハーブを栽培して料理をつくることです。
著書です。



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